エビ目 オウギガニ科 ハ行

ヘリトリマンジュウガニ ~食べられる?特徴や生態について

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皆さんはヘリトリマンジュウガニという生物をご存知でしょうか?

マンジュウガニ(饅頭蟹)とはとても美味しそうな名前ですが、食べるのはちょっと控えた方がいいかも知れないカニです。

今回は、そんなヘリトリマンジュウガニの特徴や生態についてご紹介いたします。

 

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ヘリトリマンジュウガニの基本情報

ヘリトリマンジュウガニ

学名 Atergatis reticulatus
英名
分類 節足動物門軟甲綱十脚目オウギガニ科マンジュウガニ属
分布・生息域 秋田以南 / 太平洋北西部
大きさ 甲幅は最大で8cmほど

ヘリトリマンジュウガニは水族館で飼育展示されることもあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、須磨海浜水族園、鳥羽水族館、下田海中水族館、アクアワールド大洗など、全国の7ヶ所の水族館で飼育されています。

 

分類

ヘリトリマンジュウガニ(Atergatis reticulatus)は節足動物門軟甲綱十脚目オウギガニ科マンジュウガニ属に属する海洋生物です。

軟甲綱は甲殻類と呼ばれる仲間の3分の2以上を占め、2万種以上が知られている大きなグループで、その中でも十脚脚はエビやカニ、ヤドカリといった甲殻類を代表する生物が含まれます。

 

オウギガニ科はオウギガニのように日本の海岸でもよく見られる種を含んだグループで、マンジュウガニ属は比較的大型で丸みを帯びた体型を特徴としています。

 

特徴

ヘリトリマンジュウガニ

ヘリトリマンジュウガニの甲幅は最大で8cmほどになります。

甲は幅のある扇形で前側縁が大きく湾曲し、後側縁が後方に強く狭まっているため、全体として楕円形に見えるのが特徴。

 

甲の表面には多くの縦あるいは斜めの皺があり、前側縁には板状の縁取りがあって和名の由来となっています。

皺は鋏脚や歩脚の一部にも見られ、でこぼことしています。

 

ヘリトリマンジュウガニの体色は赤色ですが、鋏脚の先端の指部だけは黒くなっています。

同属のホシマンジュウガニやアカマンジュウガニとよく似ていますが、鋏脚や甲面に皺があることと、甲羅の縁取りによって区別が可能です。

 

生態

ヘリトリマンジュウガニは太平洋北西部の熱帯海域から温帯海域にかけて分布するカニで、日本列島から朝鮮半島、台湾、中国南部、海南島の沿岸から知られています。

国内では房総半島から九州にかけての太平洋側と、秋田県から九州にかけての日本海側で見られます。

 

ヘリトリマンジュウガニは沿岸部の潮下帯から水深30mまでの浅い海に生息していて、岩礁を好みます。

雑食性で、海藻や、ゴカイのような多毛類、貝のような軟体動物を捕食します。

 

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食べられる?

ヘリトリマンジュウガニは小さなカニであるために、通常食用に利用されることはありません。

また、ヘリトリマンジュウガニ自体が有毒であると報告されたことはありませんが、同属のスベスベマンジュウガニは人を死に至らしめる猛毒を持つことで知られています。

他に同じオウギガニ科からはウモレオウギガニやツブヒラアシオウギガニも有毒種であると報告されていて、実際過去に食中毒事故が発生しました。

スベスベマンジュウガニの毒は、餌に由来すると考えられていて、同じ種類であっても有毒個体と無毒個体が存在します。

 

近縁で同じような生態を持つヘリトリマンジュウガニも、調査された個体が無毒であっても、別の個体が毒を持っている可能性を完全に否定することはできません。

そのため、食べない方が無難だとは言えそうです。

 

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まとめ

ヘリトリマンジュウガニはその名前のごとく、饅頭のように丸い体型を持ち、鮮やかな赤い体色で食べたら美味しいんじゃないかと少し思わせられるカニです。

しかし、有毒種と確認されたわけではないものの、毒を持っている可能性を完全には否定し切れない厄介な事情を持っています。

日本の沿岸ではそれほど珍しくないカニですので、もし見かける機会がありましたら、ヘリトリマンジュウガニの抱える厄介な事情に思いを馳せてみてはどうでしょうか?

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