皆さんはサツマカサゴという魚をご存知でしょうか?
サツマカサゴはサンゴ礁などに暮らす強面の魚で、しかも毒の棘を持つという、かなり恐ろしい魚です。
しかし、実はとても美味しい魚でもあるんです。
今回は、そんなサツマカサゴの特徴や生態についてご紹介いたします。
サツマカサゴの基本情報
学名 | Scorpaenopsis neglecta |
英名 | Yellowfin scorpionfish |
分類 | スズキ目フサカサゴ科オニカサゴ属 |
分布・生息域 | 房総半島以南 /東部インド洋、西部太平洋 |
大きさ | 20~25cm程 |
分類
サツマカサゴ(Scorpaenopsis neglecta)はサツマカサゴはスズキ目フサカサゴ科オニカサゴ属に属する海水魚です。
フサカサゴ科の魚は、眼下骨棚と呼ばれる眼下骨に発達する棘状の突起を特徴としています。
この特徴から、伝統的にアカメバル、カサゴなどが属するメバル科と同じカサゴ目に分類されてきました。
しかし、近年の研究では、外見上に共通点は多いものの、分類上は全く異なるスズキ目であることが有力視されつつあります。
フサカサゴ科は世界の熱帯海域から温帯海域にかけて分布しており、華やかな外見を持つミノカサゴなどが知られています。
その中でもオニカサゴ属はインド洋から太平洋にかけて28種が知られています。
特徴
サツマカサゴの体長は20~25cm程度です。
体型は体高が高く、背縁が丸く盛り上がっていてずんぐりとしており、後頭部が深く窪んでいるのが特徴。
大きな口は上向きで、胸鰭が長く発達し、臀鰭の基部よりも後方まで伸びています。
また、体表面に小さな皮弁が散在し、背鰭にある棘には強い毒を持ちます。
体色は赤色や褐色の個体が多いものの、白っぽい個体も見られ、変異が大きいと言えるでしょう。
体側面と尾鰭には黒い横帯が見られ、胸鰭の内側には小さな黒い斑点が散在しています。
こうしたサツマカサゴの形態は、海底では上手く背景に溶け込んで、保護色として機能します。
同属のニライカサゴとはよく似ていますが、胸鰭内側の模様の違いによって区別が可能です。
生態
サツマカサゴは東部インド洋から西部太平洋にかけての熱帯・亜熱帯海域に分布している魚で、西はスリランカから東はニューカレドニアまで、北は南日本から南はオーストラリアまでで知られています。
国内では房総半島以南の太平洋側から琉球列島にかけてで見られます。
サツマカサゴは水深1~40mの浅い海のサンゴ礁や岩礁に生息していて、その周辺の砂底や砂礫底を好みます。
群れることはなく、海底でじっと動かずに待ち伏せしていることが多く、小型の魚類や、エビやカニなどの甲殻類を捕食します。
海底において動かないサツマカサゴは、岩と区別がつきにくく、捕食に際して有効な擬態となっていると言えるでしょう。
美味しいけど毒針に注意!!
サツマカサゴは、まとまった漁獲量がなく、小さい魚でもあるため、市場にはほとんど流通しません。
しかし、定置網や刺し網で獲れることはあり、食べると美味しい魚であると知られています。
調理方法としては、煮つけや味噌汁、塩焼きなどがあります。
もっとも、調理に際しては毒のある棘に十分な注意が必要です。
この棘に刺されると、長い時間強く痛み続けることが知られています。
サツマカサゴは海底に擬態した地味な雰囲気の魚なので、観賞魚として飼育されることはあまりありません。
しかし、飼い続けると、よく馴れると言われています。
サツマカサゴは水族館でも飼育されることがありますが、その擬態の習性によって、水槽の中にいても見つけることが難しい場合があります。
まとめ
サツマカサゴは、サツマカサゴはスズキ目フサカサゴ科オニカサゴ属に属する海水魚です。
恐ろしげな外見に加えて、危険な有毒の棘まで持つサツマカサゴ。
しかし、その身が持つ美味しさを知れば、それらの特徴が天敵から身を守るために進化して生まれたものだと理解できます。
そう考えると、食べられないように懸命に強面で威嚇し、棘を振りかざすサツマカサゴがちょっと健気にも思えてきますから、不思議なものです。