コウイカ目 コウイカ科 ハ行

ハナイカ ~特徴や生態について

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皆さんはハナイカという生物をご存知でしょうか?

日本人でイカを知らないという方はほとんどいないと思います。

容易に姿形をイメージできるでしょうし、日常的に食べているという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、一口にイカと言ってもいろんな種類が存在しており、その姿形や色模様も多種多様なのです。

その中でも世界一美しいイカと称されることもあるのがハナイカです。

今回は、そんなハナイカの特徴や生態についてご紹介いたします。

 

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ハナイカの基本情報

ハナイカ

学名 Metasepia tullbergi
英名 Paintpot cuttlefish
分類 軟体動物門頭足綱コウイカ目コウイカ科ハナイカ属
分布・生息域 南日本 /太平洋北西部・朝鮮半島南部
大きさ 7cm程度

 

分類

ハナイカ(Metasepia tullbergi)は軟体動物門頭足綱コウイカ目コウイカ科ハナイカ属に属する海洋生物です。

 

軟体動物門は、貝類を中心に、進化の過程で貝殻を喪失したウミウシやナメクジ、そしてイカやタコなどが含まれており、これまでに約11万種が発見されている、節足動物に次ぐ巨大に動物門です。

そのうち、頭足綱は軟体動物門の中でも特異的に活発な動物で、足が多数に分かれて触手となっていることを特徴とします。

イカやタコの他、オウムガイや中生代に絶滅したアンモナイトなどが属しています。

 

頭足綱の中でも、いわゆるイカは、十腕形上目というグループにまとめられており、開眼目、閉眼目、コウイカ目、トグロコウイカ目、ダンゴイカ目の5つの目に分類されています。

コウイカ目は、外套膜の後端が丸みを帯びて、ずんぐりとした体型をしているのが特徴のイカ類で、体に比して脳の容量が大きく、軟体動物門ばかりか全ての無脊椎動物の中で最も知能が高いと言われています。

 

その中でもコウイカ科は、食用イカの代表格とも言えるコウイカを含んており、ハナイカ属は、ハナイカの他に、東南アジアからオーストラリア北部にかけて分布するMetasepia pfefferi(和名なし)種の2種からなっています。

 

特徴

 

ハナイカ

ハナイカの体長は7cm程度です。

体型は外套膜がドーム状となっていて、中央に二列と側縁沿いに多数の突起が見られるのが特徴。

外套膜の後ろ寄りに耳型のヒレを持っていて、体内にはイカの骨に相当する殻があり、大きな瞳孔を持ちます。

また、8本の触手と2本の触腕を持ち、触腕を使って海底を這うように移動します。

 

ハナイカの体色は、赤褐色ですが、白い部分が散在し、また突起部分や外套膜の縁沿いは黄色くなっています。

ただし、この体色や形状は、刻々と変化するために一様ではありません。

 

ハナイカは普段落ち着いている時は、周囲の砂地や岩に似せて、地味で目立ちにくい色をしているのですが、餌を食べる時や天敵に出会って驚いた時などに、黄色や赤色の色合いが濃くなり、世界一美しいイカとも形容される、華やかな模様になるのです。

 

一般的に生物が派手な色を持つ理由として、自分が毒を持っていることを警告したり、敵を驚かせることを目的としている場合が多くあります。

ハナイカは筋肉に毒を持っているという研究報告もあり、綺麗な模様との間に何らかの関連があるのかも知れません。

 

生態

 

ハナイカ

ハナイカは太平洋北西部の熱帯・亜熱帯海域に分布しており、南日本や朝鮮半島南部から東シナ海、南シナ海を経て、ベトナムやフィリピン、タイランド湾までで知られています。

ハナイカは水深20~100mの浅い海からやや深い海の海底に生息していて、砂底や礫底を好みます。

 

餌は底生の小動物で、エビやカニなどの甲殻類を好んで捕食します。

繁殖期は夏で、岩場に産卵され、孵化した幼体は水深80メートルほどの深場へ移動して成長します。

そして成熟した個体は、繁殖に備えて春頃には浅い場所へ戻ってきます。

一般にイカやタコなどの頭足綱は寿命が短く、ハナイカも孵化してから産卵するまでの1年ほどで寿命を終えてしまいます。

 

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美しいハナイカ!!

一般的にコウイカ目のイカは、食用に利用されることが多いのですが、ハナイカは小さいために食用に利用されることはなく、漁獲の対象にもなっていません。

ただし、その美しさと可愛らしさから、鑑賞生物としての評価は非常に高く、アクアリストの間では飼育の対象となることがあります。

水族館でもハナイカが飼育展示されることは多く、飼育下で産卵に至った例もあるほどです。

 

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まとめ

ハナイカは、軟体動物門頭足綱コウイカ目コウイカ科ハナイカ属に属する海洋生物です。

とても小さく、美しく、可愛らしいハナイカ。

しかしその生態についてはまだ謎が多く、研究途上にあります。

皆さんも水族館などでハナイカをご覧になる際には、その美しさに見惚れるだけでなく、綺麗な模様が持つ意味についても考えてみましょう。

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