皆さんはサザナミフグという魚をご存知でしょうか?
サザナミフグはその名前のごとく、細かな白い波がたくさん立っているかのような模様を持ったフグで、とても愛嬌のある姿をしています。
今回はそんなサザナミフグの特徴や生態についてご紹介いたします。
サザナミフグの基本情報
学名 | Arothron hispidus |
英名 | White-spotted puffer |
分類 | フグ目フグ科モヨウフグ属 |
分布・生息域 | 津軽海峡以南 /インド洋・太平洋全域 |
大きさ | 45cm程度 |
分類
サザナミフグ(Arothron hispidus)はフグ目フグ科モヨウフグ属に属する海水魚です。
フグ目は魚類の中でも系統的にとりわけ進化の進んだグループで、カワハギやハコフグ、ハリセンボンやマンボウなど、ユニークで特徴的な体型を持つ魚が多く含まれています。
その中でもフグ科には、高級食用魚として有名なトラフグなど、一般的にイメージされる形態のフグ類が属していて、丸みを帯びた体型が特徴。
モヨウフグ属は太平洋、インド洋、大西洋の熱帯・亜熱帯海域に分布していて、15種が知られています。
特徴
サザナミフグの体長は45cm程度で、最大50cmの個体の記録があります。
体型は、一般的にフグ型と称される楕円形をしていて頭部が大きく、尾柄部が側扁し、全体が小さな棘で覆われているのが特徴。
また、鼻孔には2つの皮弁があります。
サザナミフグの体色は淡い褐色あるいは灰褐色で、白い小さな斑点模様が散在しています。
特に目や胸鰭の周りには、同心円状に広がる白色と濃い灰色の線が見られます。
幼魚は体色が暗色で、腹部にさざ波状の筋が見られる点で、成魚とは異なります。
生態
サザナミフグはインド洋から太平洋全域にかけての熱帯・亜熱帯海域に広く分布しており、西は紅海や東アフリカから東はパナマまで、北は南日本やハワイ諸島から南はオーストラリアのロードハウ島までで知られています。
東部太平洋ではバハカリフォルニアからパナマまでの沿岸で見られます。
国内では津軽海峡以南の太平洋側と日本海側、伊豆諸島、小笠原諸島、琉球列島で見られます。
サザナミフグは水深1~50mの浅い海に生息していて、サンゴ礁やその周辺の砂底を好みます。
また、幼魚は河口の汽水域に侵入したり、流れ藻について沖合を漂うこともあります。
雑食性で、エビやカニなどの甲殻類、ゴカイなどの多毛類、貝などの軟体動物やウニやヒトデなどの棘皮動物、サンゴやスナギンチャクなどの刺胞動物、海綿動物や小型の魚類、藻類まであらゆるものを餌とします。
サザナミフグは夜行性で単独行動をしており、縄張りを形成し、同種の他個体が侵入した場合は攻撃性を持ちます。
また肝臓や卵巣などに強い毒を持っており、筋肉にも毒性があるとされる他、皮膚からも毒を出します。
食用にならないフグ?
サザナミフグは肝臓や卵巣だけでなく、皮膚や筋肉などにも毒を持っているため、食用魚として利用されることはありません。
しかし、美しい模様を持ち、また愛嬌のある外見を持つために、アクアリストの間では観賞魚としては一定の評価を受けています。
もっとも50cm近くにまで成長する大型のフグであるために、一般家庭で終生飼育できるだけの環境を整えることは困難です。
そのため、サザナミフグは水族館で飼育されることが多く、サンゴ礁を再現した水槽で、他の魚類と一緒に展示されることが多い魚です。
まとめ
サザナミフグは、フグ目フグ科モヨウフグ属に属する海水魚です。
綺麗な模様と愛嬌のある姿をしたサザナミフグですが、何でもと言っていいほどいろんなものを食べてしまう大食漢。
実はサンゴを食い荒らすことで悪名高いオニヒトデも、サザナミフグは食べてしまうことが知られています。
サンゴ礁を守る上で、サザナミフグは救世主と言えるのかも知れません。