今回は、マンジュウヒトデの特徴や生態についてご紹介させていただきます。
マンジュウヒトデの基本情報
学名 | Culcita novaeguineae |
英名 | Cushion star |
分類 | アカヒトデ目コブヒトデ科 |
分布・生息域 | 屋久島以南 / 西部太平洋、インド洋 |
大きさ | 20cm~30cm程 |
マンジュウヒトデは、アカヒトデ目コブヒトデ科の棘皮動物です。
ヒトデと言えば星型の物がポピュラーですが、このマンジュウヒトデは丸っこい五角形のユニークな形をしています。
英名で「クッションスター」と呼ばれています。
この呼び名は洋裁に使うピンクッションから来ています。
マンジュウヒトデは、西部太平洋~インド洋等の熱帯・亜熱帯の海域に分布していて、日本では屋久島より南・琉球列島等温かい海のサンゴ礁等に生息しています。
生態と身体的特徴
マンジュウヒトデの体長は約20cm~30cm程に成長します。
体表には粒粒の突起が無数に散らばり手触りはザラザラとしています。
腕が短く星型のヒトデとは違う体型ですが、ひっくり返して裏側を見てみるとヒトデらしい管足溝が中心から放射状に5本入っています。
管足とは:ヒトデ・ウニ等の棘皮動物が持つ液体の入った細い管状の器官です。
伸縮自在で足の代わりになって移動したり手の代わりに感触を確かめる等の役割を持っています。
ボディーカラーはオレンジ・赤・グレー・緑・青・紫等で、その上に小さな白い霰模様の中に濃い色のピンドット模様が有る個体や、全体的にぼんやりとぼかしが入ったような個体など組み合わせが沢山有り、居住している環境に合わせて様々な色や模様をしています。
マンジュウヒトデの幼体は大人になった時の身体のボリュームが有りません。
もっと扁平でヒトデらしい体形をしています。
成長するにつれ身体が徐々に膨張し腕の面影が消えるほど丸っこい愛嬌のある姿に変身します。
同居人のヒトデヤドリエビ
マンジュウヒトデは、海中で見付けるとゴロンと大きな存在感が有り「ウミバコ」という別名も持っています。
彼らの身体には「ヒトデヤドリエビ」という2cm未満のごく小さなエビが棲み付いています。
ヒトデヤドリエビは、マンジュウヒトデの体表ではなく主に裏側に有る管足溝に居ます。
このエビは赤・淡いピンク・青・白いライン入りと宿主によってボディーカラーが変わります。
小さいながらも個性豊かな可愛らしい姿をしているので、マンジュウヒトデに付いている彼らの様子は玉手箱の中で輝く宝石のようです。
片利共生のカクレウオ
マンジュウヒトデの身体に棲み付いてるのは小さなエビだけではありません。
「カクレウオ・隠れ魚」という魚もいます。
カクレウオはドジョウやウナギの様な細長い体型で、ヒトデ・ナマコ等の生物の体の中(消化器官など)を寝床にしています。
そして夜は肛門等から出て活動するという面白い生物です。
カクレウオは夜間に活動する魚なので滅多に観察できない珍しいお魚です。
マンジュウヒトデとカクレウオの生活形態を「片利共生」と言い、宿主のマンジュウヒトデには特別な利害は無く、一方のカクレウオだけに利益が有るという不思議な関係です。
サンゴを食い荒らす!?
マンジュウヒトデは雑食性で海の底で魚の死骸や貝類等を食べますがもう一つ大好物が有ります。
それはサンゴのポリプです。
サンゴに大きな体を身体を押し付けて食べてしまいます。
サンゴを食い荒らすヒトデと言えばあの悪名高きオニヒトデが有名ですが、マンジュウヒトデはオニヒトデ程食欲が旺盛ではなく繁殖スピードもそれほど早くないという事で、マンジュウヒトデからの食害は比較的低いと考えられています。
まとめ
マンジュウヒトデは、アカヒトデ目コブヒトデ科の棘皮動物です。
マンジュウヒトデは、サンゴにくっ付いていたり海底でただ居るだけで、異彩を放つ抜群の存在感を持っている海の生き物です。
大きく肥大した彼らの身体を見ると、さぞかし凄い食欲だろうと思ってしまうのですが意外と小食なのも面白いですね。
強烈なインパクトを持ちながら小さなエビたちと仲良く暮らしたり、自分には何の得にもならない魚が体に棲んでいても全く気にすることなく、淡々と生活している姿に海の世界の底知れない懐の深さが重なります。