皆さんはヒメフエダイという魚をご存知でしょうか?
ヒメフエダイは、沖縄ではミミジャーと呼ばれている高級食用魚で、鮮明な赤色をしており、どんな料理にも合うとても美味しい魚として知られています。
今回は、そんなヒメフエダイの特徴や生態についてご紹介いたします。
ヒメフエダイの基本情報
学名 | Lutjanus gibbus |
英名 | Humpback red snapper |
分類 | スズキ目フエダイ科フエダイ属 |
分布・生息域 | 房総半島以南、インド洋、中・西部太平洋 |
大きさ | 35cm程 |
分類
ヒメフエダイ(Lutjanus gibbus)はスズキ目フエダイ科フエダイ属に属する海水魚です。
フエダイ科は世界の熱帯・亜熱帯海域に分布するグループで、体型が側扁していて口が大きく、牙状の犬牙を持つことが特徴。
サンゴ礁や岩礁などに多く、これまでに100種以上が知られていて、大型の種は体長が1メートルを超えます。
その中でもヒメフエダイを含むフエダイ属は一番大きなグループで、これまでに科全体の半数以上、68種が記載されています。
形態と特徴
ヒメフエダイの体長は通常35cmほどですが、最大で50cmに達した個体の記録があります。
体型は楕円形で強く側扁していて、他のフエダイ類に比べると体高が高めなのが特徴。
吻部は突き出ていて口が大きく、頭部の背縁も隆起しています。
湾入した尾鰭は上下の両端が丸みを帯び、体側面の下側の鱗が斜め後方へ向かいます。
ヒメフエダイの体色は鮮やかな赤色で、背鰭、臀鰭、尾鰭のそれぞれの縁が白っぽくなります。
幼魚の体色は成魚とは似ても似つかずに淡い青色をしていて、各鰭が黄色くなり、尾柄部に暗色の横帯が出現します。
生態
ヒメフエダイはインド洋から中・西部太平洋にかけての熱帯・亜熱帯海域に広く分布する魚で、西は東アフリカから東はフランス領ポリネシアまで、北は南日本から、南はオーストラリア北部までで知られています。
国内では房総半島以南の太平洋側や九州西岸、琉球列島、小笠原諸島で見られます。
ヒメフエダイは沿岸の水深1~150mに生息。岩礁やサンゴ礁で群れをなしており、稚魚は浅瀬のアマモ場に多く、潮間帯の潮だまりにも侵入することがあります。
また、汽水域に現れた記録もあります。
夜行性かつ肉食魚で、餌は他の小型の魚類やエビやカニなどの甲殻類、イカやタコなどの頭足類からウニのような棘皮動物まで。とにかく何でも捕食してしまう貪欲さの持ち主と言えるでしょう。
ヒメフエダイは産卵の時期になると夜間浅瀬に集まることが知られています。
美味しいけどシガテラ毒には注意
ヒメフエダイは美味しい食用魚として知られており、個体数の多い沖縄ではミミジャーという地方名で呼ばれて、刺し網や定置網、釣りなどで盛んに漁獲されています。
一年を通して味がよいことで産地では評価も高く、高値で流通します。
良質な白身を持っており、熱を通しても縮むことがなく、刺し身から塩焼き、煮物まであらゆる料理に合うまさに万能魚。
ただし、熱帯海域に分布する大型の肉食魚ということもあり、大きな個体はシガテラ毒を持つことがあるので注意が必要です。
南太平洋の島々では食中毒の事例が多く報告されています。
観たい時は?
ヒメフエダイは多くの水族館でも飼育展示されており、日本動物園水族館協会のデータベースによると2018年時点で、沖縄美ら海水族館、海遊館、鳥羽水族館、マリンピア日本海など、全国の20ヶ所の水族館で飼育されています。
サンゴ礁の水槽や、大型で群れをなす種であることから回遊魚の水槽で展示されることが多いようです。
まとめ
ヒメフエダイは本州の市場ではあまり見かけず食べる機会が少ないのですが、どんな調理をしても美味しい魚で、産地の沖縄などでは高級食材としてもてはやされています。
透明感のある白身は、甘みがあってまさに絶品。
皆さんも旅行で沖縄を訪れた際など、一度ヒメフエダイを味わってみてはいかがでしょうか?