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ニホンウナギ ~特徴や生態について

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皆さんはニホンウナギという魚をご存知でしょうか?

いや、むしろ知らない人の方が少ないかも知れません。

ニホンウナギと言うよりは、単にウナギと呼ばれることの多いこの魚は、昔から日本の食文化には欠かせない立ち位置を占めてきました。

しかし、最近では個体数の減少が激しく、絶滅を危惧されていることを耳にしている方もいるかも知れません。

今回は、そんなニホンウナギの特徴や生態についてご紹介いたします。

 

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ニホンウナギの基本情報

ニホンウナギ

学名 Anguilla japonica
英名 Japanese eel
分類 ウナギ目ウナギ科ウナギ属
分布・生息域 日本列島、朝鮮半島、中国などの東アジア
大きさ 60~100cm程

 

分類

ニホンウナギ(Anguilla japonica)はウナギ目ウナギ科ウナギ属に属する魚です。

ウナギ目は細長い円筒形の体型が特徴のグループで、ウナギ類の他にもウツボやハモ、マアナゴなどが含まれており、いずれもヘビのような細長い体型をしています。

 

その中でもウナギ科は2属23種からなり、東部太平洋と南部大西洋を除く世界の熱帯・温帯海域に広く分布しているグループです。

日本国内からはニホンウナギの他に、南方系のオオウナギが知られています。

 

特徴

ニホンウナギ

ニホンウナギの体長は60~100cmで、最大で140cmの個体の記録があります。

細長い円筒形の体をしていて目が丸く口が大きいのが特徴。

 

体表面は粘膜に覆われていてヌルヌルしていますが、皮下には小さな鱗があります。

腹鰭は失われており、背鰭、臀鰭、尾鰭が一つに繋がって体の後半部に残存しています。

 

ニホンウナギの体色は黒色ですが、腹側が白みを帯びます。

野生個体には腹側が黄色くなった個体も数多く見られます。

 

海中で卵から孵化したばかりの稚魚はレプトケファルスと呼ばれる形態をしており、平べったくて透明な体を持っています。

その後透明なままに体型が円筒形へ変化し、この状態の時にはシラスウナギと呼ばれます。

 

生態

ニホンウナギ

ニホンウナギは太平洋北西部の温帯海域に分布している魚で、北は北海道から、日本列島、朝鮮半島、中国、台湾を経て南はフィリピン北部までで知られています。

東アジア海域の特有の種と言っていいでしょう。

 

ニホンウナギはその生活史の段階において生息環境を大きく変えており、海洋から川の河口、下流から中流まで、そして川と繋がった湖でも暮らしています。

一般的に成魚が数多く生息している河川においては、ニホンウナギは細長い体を隠すことができる砂の中や岩の割れ目を好み、日中はそこに潜んでいて、夜間に餌を探し求めて外へ出てゆきます。

ニホンウナギ

餌は様々な小動物で、淡水性のエビやカニといった甲殻類、水生昆虫、カエルや小型の魚類などを捕食します。

 

鰓だけでなく皮膚呼吸もできるため、体表面の湿度さえ維持できれば陸上に上がっても生存可能です。

そのため、雨の日などは陸上を移動しながら他の水系へ移動する様子が観察されています。

 

長らく謎とされていた産卵場所はマリアナ諸島近海の深海底であることが判明しており、そこで孵化した稚魚がレプトケファルス幼生、シラスウナギの段階を経て河川へ遡上し、成長するのが通常のニホンウナギの生活史とされています。

一方で近年、耳石に含まれるストロンチウムの分析による研究から、河川遡上を行わない「海ウナギ」の存在が明らかになってきています。

 

ニホンウナギの生態については、未だに分かっていないことが非常に多く、まだ多くの謎に包まれていると言えるでしょう。

 

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人にとってのニホンウナギ

ニホンウナギは日本の食文化には欠かせない魚であり、非常に重要な食用魚と言えます。

成魚の漁獲も行われていますが、国内で消費されるニホンウナギの大半は養殖個体です。

 

もっとも、ニホンウナギの受精卵からの完全養殖は技術的には確立されているものの、コストの問題から未だに商業化は進んでいません。

大半の養殖個体は天然のシラスウナギを漁獲した上で、育て上げたものです。

 

そのため、ニホンウナギは常に過剰な漁獲圧にさらされ続けており、資源量の減少が続いています。

密漁も横行しているとされ、2014年には国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて絶滅危惧種に指定されています。

 

ニホンウナギは水族館でも飼育展示されており、日本動物園水族館協会のデータベースによると2018年時点で、かごしま水族館、須磨海浜水族園、井の頭自然文化園、アクアマリンふくしまなど、全国の40ヶ所の水族館や動物園で飼育されています。

 

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まとめ

私たち日本人にとって、食材としてとても身近な存在であるニホンウナギ。

しかし、今のまま乱獲を続けていけば、いずれこの魚は絶滅して地球上から姿を消してしまうかも知れません。

もしニホンウナギの保護のために漁獲量を規制すれば、きっとウナギの蒲焼きの値段も上がって、庶民には口にするのが難しくなってしまうことでしょう。

しかし、このまま乱獲を放置して絶滅してしまえばどれだけのお金を払ってもウナギの蒲焼き自体が食べられなくなってしまうのです。

飽食の時代、安くウナギを食べられることが本当にいいことなのかどうか、真剣に考えなければなりません。

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