今回は、エビスダイの生態や特徴についてご紹介させていただきます。
エビスダイの基本情報
学名 | Ostichthys japonicus |
英名 | Japanese soldierfish |
分類 | キンメダイ目イットウダイ科エビスダイ属 |
分布・生息域 | 青森~琉球諸島 / 西部太平洋、インド洋 |
大きさ | 35cm~40cm程 |
エビスダイはキンメダイ目・イットウダイ科の海水魚です。
鯛と名前についていますが真鯛の仲間ではなくキンメダイの仲間です。
日本での漁獲量は決して多くなく市場に出回る機会が少ない海水魚です。
生息海域
太平洋の西部~インド洋・アンダマン諸島(インドの東部・ベンガル湾に位置する島)オ―ストラリアに分布していて、日本では青森~琉球諸島までの広い海域に分布しています。
生態と身体的特徴
エビスダイは、水深100m程のやや深い岩礁域や砂の有る海の底に単体で生息しています。
大きな口で小魚やエビ蟹等の甲殻類を丸呑みする豪快な肉食性のお魚です。
成魚の体長は約35cm~40cmになります。
身体の色は華やかな美しい朱色で、その上をガラスのような鱗が隙間なく覆っています。
エビスダイの身体を覆いつくしている大きな鱗は透き通っていて、まるでキラキラと輝く切子細工のようです。
この鱗は縁がギザギザしていて、何よりとても硬く皮にしっかりとくっ付いているので、鱗を綺麗に取り去るのにとても骨が折れる魚として知られています。
名前の由来と別名
名前の「恵比寿」は、頭を上にして吊り下げるとずんぐりとしたふくよかなシルエットがまるで七福神の恵比寿様のように見える事から由来しました。
大きな丸い目と赤い体色、そしておめでたい神様にあやかった名前の為、結納等お祝い事の席に用いられることが多いお魚です。
エビスダイは他にも「具足鯛・グソクダイ」「鎧鯛・ヨロイダイ」等、硬い鱗と全体的にいかつい印象が有り、身体の赤い色も甲冑や武士を連想させる事から、この様な別名でも呼ばれ各地で親しまれているお魚です。
美味だけど上級者向け
初心者が自らこの魚を調理するには少し覚悟を決めなければいけません。
前述のように、鱗を綺麗に取り去るのがとても大変な魚だからです。
美味しくいただく為には魚の扱いに慣れた中級・上級者向けの食材と言えるでしょう。
しかしエビスダイの硬い鱗の下には素晴らしく美味しい身がたっぷりと詰まっています。
お造りは透き通った白身に旨味の有る脂が良く乗って最高のお味です。
また、皮目に旨味がギュッと凝縮しているのでお勧めは皮を付けたままの皮霜造りです。
新鮮な活〆した物を塩をして冷蔵庫で熟成させたり昆布締めにするのも、身が絶妙に柔らかくなり更に美味しくなります。
エビスダイは加熱すると身が締ってプリッとした食感に変わります。
頭・皮・骨からも上質な出汁が溶け出すので鍋物や汁物にしても最高の美味しさです。
肝や胃袋などの内臓もとても美味しいです。
金目鯛のように、醤油とみりんで甘辛くした煮付けや唐揚げも美味ですし、鱗を付けたまま高温の油で短時間揚げれば大きな鱗が豪快な松笠揚げの出来上がり。
ふんわりとした甘みのある白身と、エビの殻を揚げたようなサクサクの鱗の食感が同時に楽しめますよ。
鱗を楽に剥がすコツ
鱗をきれいに剥がすひとつの方法としては、鱗を付けたまま熱湯をエビスダイの身体の側面にザッとかけ、その後ウロコ取りを使います。
すると不思議な事に、ガッチリと頑固にくっ付いていた鱗が割とあっさり楽に取ることが出来ます。
まとまって漁獲されることが少ないエビスダイですが、もしも市場や釣り等でこの魚に出会うチャンスが有ったら、是非ご自分で調理して一匹丸ごと全部食してみてください。
その美味しさにハマってしまう事間違いなしですよ。
まとめ
エビスダイは、身体に対して頭部のバランスが大きく目もクリクリと大きいので、郷土玩具で作られている鯛の姿に似ていてどこか漫画チックで可愛らしい姿のお魚です。
残念ながら市場でよく見かけるお魚ではありません。
しかし身は勿論ですが、頭から内臓・皮・骨・鱗まで、ほとんどすべて捨てる所が無く、美味しく食べられる大きな魅力を持った海水魚です。
この味を一度でも知ってしまえば誰でもエビスダイの虜となってしまいます。