皆さんはオオグソクムシという生物をご存知でしょうか?
オオグソクムシは深い海の底に暮らす巨大なダンゴムシのような姿をした生物で、生物の死骸を食べることから深海の掃除屋との異名を持っています。
そして鳥羽水族館で5年以上に渡って絶食したことで有名となったダイオウグソクムシの近縁種です。
今回は、そんなオオグソクムシの生態や特徴についてご紹介いたします。
オオグソクムシの基本情報
学名 | Bathynomus doederleinii |
分類 | ワラジムシ目(等脚目)スナホリムシ科オオグソクムシ属 |
分布・生息域 | 駿河湾以南、西部太平洋 |
大きさ | 10~15cm程 |
分類
(Bathynomus doederleinii)は節足動物門軟甲綱等脚目スナホリムシ科オオグソクムシ属に属する海洋生物です。
軟甲綱は別名エビ綱とも呼ばれるように、エビやカニ、ヤドカリ、シャコ、オキアミといった、世間一般に甲殻類と認識されている生物を全て含んだ分類となります。
その中において等脚目はダンゴムシやワラジムシ、フナムシといった、やや平たく細長い体が体節に分かれ、腹面にたくさんの足が並ぶという特徴を持つ生物のグループです。
これまでに5,000種以上が知られており、淡水域や陸上にも進出していますが、大半の種が海に産します。
オオグソクムシ属は太平洋、インド洋、大西洋の熱帯海域から温帯海域にかけての深海からおよそ20種が知られており、いずれも大型となるのが特徴。
特にメキシコ湾に分布するダイオウグソクムシ(Bathynomus giganteus)は最大で50cmに達し、等脚目の中で最大の種となります。
特徴
オオグソクムシの体長は10~15cm程度で、近縁のダイオウグソクムシと比べると3分の1程度の大きさですが、陸生のダンゴムシやワラジムシよりははるかに巨大で、日本で見られる等脚目の生物としては最大です。
オオグソクムシの体型は扁平気味で細長く、体長が体幅のおよそ3倍あります。
多くの体節に分かれていて、目立つ触角と、腹部に見られる7対の歩脚は等脚目全体に共通した特徴。
腹尾節の中心線が盛り上がっていて、後縁には7本の棘があります。
同じ等脚目である陸生のダンゴムシと外見はよく似ていますが、ダンゴムシほど完全に体を丸めることはできません。
代わりに鰭状に発達した遊泳肢を持っており、それで背面を海底に向けながら、体を上下にくねらせて泳ぎます。
オオグソクムシの体色は淡い褐色ですが、白化したアルビノ個体が発見されたこともあります。
生態
オオグソクムシは西部太平洋の日本から台湾、フィリピンにかけての熱帯海域から温帯海域にかけて分布している生物です。
日本国内では本州中部以南で見られます。
オオグソクムシは水深100~650mの深海底に生息していて、日本近海においては、その知名度や特徴的な形態から代表的な深海生物の一種と言えるでしょう。
様々な有機物を食べる雑食性で、動物の死骸を食べる他、弱った深海生物や動きの遅いヒトデ類を捕食することもあります。
特に海底の海中生物の死骸を食べて片づけてしまう役割を持つことから、深海の掃除屋と呼ばれています。
一方で深海の大型の捕食生物の餌にもなっていると考えられ、そうした天敵に襲われた際には、口から悪臭を出して身を守ります。
深海生物であるために観察が難しく、オオグソクムシの生態についてはまだ分かっていないことが多くあるものの、飼育下での繁殖例から直径8mmほどの卵を産むことが判明しました。
寿命は不明です。
食べれる!?
オオグソクムシは通常食用に供されることはありません。
また、見た目が不気味である上、網にかかった際には一緒にかかった魚を食い荒らしてしまうことがあるために、漁業関係者からは嫌われています。
ただ、可食部の少なさから敬遠されているだけで食べられないわけではなく、実際に食べた人の口からは同じ甲殻類のエビによく似た味がするとの感想がもたらされたこともあります。
観たい時は?
オオグソクムシは丈夫な生物で有機物なら何でも食べる貪欲な性質を持つことから、一般家庭での飼育も難しくはないでしょう。
ただし、深海で暮らしているため、水温は低めに保必要があります。
オオグソクムシは水族館でも飼育展示されることがあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2018年時点で、沖縄美ら海水族館、海遊館、東海大学海洋科学博物館、アクアマリンふくしまなど、全国の28ヶ所の水族館で飼育されています。
とりわけ愛知県の竹島水族館では、日本で初めて飼育下での繁殖に成功しています。
オオグソクムシは通販で買える?
オオグソクムシは楽天などの通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーから楽天市場での検索結果をチェックしてみてください。
まとめ
オオグソクムシは、最近すっかり有名になった深海の巨大ダンゴムシことダイオウグソクムシととても近い仲間で、日本の海に暮らす生きものです。
そして海底の生物の死骸を食べて掃除してしまう、深海の生態系でとても重要な役割の持ち主でもあります。
ちょっと見た目はグロテスクですが、とても重要な働きを示すオオグソクムシ最近の深海生物ブームで展示している水族館も増えましたので、一度観察されてみてはいかがでしょうか?