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イボヤギ ~特徴や生態について

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皆さんはイボヤギという生物をご存知でしょうか?

イボヤギは、名前にヤギが付くと言っても陸上動物のヤギの仲間ではなく、海の中の生物であるサンゴの仲間です。

海の中で鮮やかなオレンジ色の花が咲き誇っているかのようなイボヤギの美しい姿はとても幻想的です。

今回は、そんなイボヤギの特徴や生態についてご紹介いたします。

 

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イボヤギの基本情報

イボヤギ

学名 Tubastraea faulkneri
英名 Faulkner's coral /Orange cup coral
分類 刺胞動物門花虫綱イシサンゴ目キサンゴ科イボヤギ属
分布・生息域 相模湾以南 /インド洋・西部太平洋
大きさ 直径6~8mm、高さ4~5mmの円筒形

 

分類

イボヤギ(Tubastraea faulkneri)は刺胞動物門花虫綱イシサンゴ目キサンゴ科イボヤギ属に属する海洋生物です。

刺胞動物は、触手に刺胞と呼ばれる、物理的あるいは化学的な刺激によって毒液を注入する針を備えた生物群で、クラゲやサンゴ、イソギンチャクなどが含まれます。

その中でも花虫綱はサンゴやイソギンチャクの仲間からなり、基質に付着して成長することが特徴です。

 

イシサンゴ目には一般にサンゴと聞いてイメージされやすい、ハードコーラルと呼ばれるサンゴが属しており、炭酸カルシウムからなる硬い骨軸を作ります。

キサンゴ科は22属からなり、その1つであるイボヤギ属には、イボヤギの他に、オオイボヤギ(Tubastraea coccinea)や、エダイボヤギ(Tubastraea robusta)などが知られます。

 

特徴

イボヤギ

イボヤギのサンゴ体は塊状か皮殻状で、共肉基部から直径6~8mm、高さ4~5mmの円筒形の石莢が深く入り込んでいます。

その石灰質の骨格はイソギンチャクに似ていて、それらが集まることで群体を形成します。

 

石莢を覆っている共肉は濃い橙色で、そこから伸びる個虫の触手は黄色です。触手には刺胞が備えられています。

イボヤギの基部の骨格上の窪みには内面に襞があり、タコのイボによく似ていることが、和名の由来となりました。

同属のオオイボヤギは、石莢ま高さが2cm程度、直径が1.5~2cmとより大きいことから、イボヤギとの区別が可能です。

 

生態

イボヤギはインド洋から西部太平洋にかけての熱帯・亜熱帯海域に分布している生物です。

国内では相模湾以南の太平洋側から九州、琉球列島にかけてで見られます。

 

イボヤギは水深8~10mの浅い海の、外洋に面した潮の流れが速い岩礁壁の日陰に群生します。

イボヤギは体内に褐虫藻を持たないため、造礁サンゴに見られるように、光合成による余剰生産物をエネルギー源とすることはできません。

そのため、触手を使って潮に流されてきた動物プランクトンを捕食します。

ポリプを開いて捕食行動に出るのは、主に夜間です。

 

イボヤギの群体上にはしばしば、イボヤギミノウミウシという、イボヤギと同じ橙色をしたウミウシが暮らしていて、共肉を食べる天敵となっています。

 

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美しいだけに飼育は難しい??

イボヤギは通常食用に利用されることはなく、漁獲の対象にもなっていません。

しかし、美しい花が咲いたようなその外見から、鑑賞用の生物としては人気が高く、スキューバダイビングにおいては探索の対象となり、アクアリストの間では飼育の対象となります。

ただし、イボヤギのような陰日性サンゴは、水温を低く保たなければならないことや、日光に弱いことなどから、飼育はかなり難しいと言えるでしょう。

イボヤギは水族館においても飼育展示が行われることがあります。

 

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まとめ

イボヤギは、刺胞動物門花虫綱イシサンゴ目キサンゴ科イボヤギ属に属する海洋生物です。

陰日性サンゴとも呼ばれるように、文字通り日陰者のサンゴであるイボヤギ。

しかし、その美しい姿には、独特の怪しい魅力があります。

そんな魅力が、困難と知りながらも飼育に挑戦するアクアリストを生み出しているのかも知れません。

 

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