皆さんはミヤコテングハギという魚をご存知でしょうか?
ミヤコテングハギはサンゴ礁でよく見られるニザダイの仲間で、まるで歌舞伎役者の隈取と呼ばれる独特な化粧法を思わせる色彩の顔を持つ、ユニークな存在です。
今回は、そんなミヤコテングハギの特徴や生態について、ご紹介いたします。
ミヤコテングハギの基本情報
学名 | Naso lituratus |
英名 | Orangespine unicornfish |
分類 | スズキ目ニザダイ科テングハギ属 |
分布・生息域 | 駿河湾以南、中・西部太平洋 |
大きさ | 30cm程 |
分類
ミヤコテングハギ(Naso lituratus)はスズキ目ニザダイ科テングハギ属の海水魚です。
テングハギ属は頭部に角状の突起が発達することが特徴のグループで、今までに世界で16種が発見されています。
その形態から和名に天狗を冠し、英語ではユニコーンフィッシュと呼ばれている仲間で、ミヤコテングハギもオレンジスパインユニコーンフィッシュの英名を持ちます。
ただし、ミヤコテングハギ自体は頭部の突起がありません。
かつてインド洋に分布するNaso elegans種(和名なし)が、ミヤコテングハギの地域変異とされていましたが、研究の結果、別種とされました。
特徴
ミヤコテングハギの体長は通常30cm程度で、最大で46cmの個体の記録があります。
体型は左右に平べったく側扁し、体高が高く口が小さいという、ニザダイ科に共通する特徴を持ちますが、尾柄がとても細く、骨質板が2つあります。
そしてテングハギ属の魚によく見られる頭頂部の角状の突起がミヤコテングハギにはありません。
体色は暗灰色ですが、頭部や腹鰭、尻鰭、尾柄部の2つの骨質板は黄色くなります。
そして背鰭や目元から口にかけては黒色を帯びます。雄は尾鰭の上下端が細長く伸びることが知られています。
生態
ミヤコテングハギは中・西部太平洋に広く分布している魚で、北は日本近海から南はグレートバリアリーフ、東はハワイ諸島やポリネシアで見られる他、東部太平洋でもメキシコ沖のクリッパートン島でも記録があります。
以前、インド洋のNaso elegans種(和名なし)が同一種とされていた時期には、インド洋も分布域に含まれると考えられていました。
国内では駿河湾以南の太平洋側や琉球列島、小笠原諸島で見られます。
ミヤコテングハギは潮間帯から水深90mまでで見つかっており、通常は水深5~30mの浅いサンゴ礁や岩礁に生息します。
小さな群れを作り、海藻などの藻類を小さな口で削ぎ取るようにして食べます。
繁殖については、雄と雌のペアで行動しながら、産卵する様子が観察されています。
食べられる?
ミヤコテングハギは、日本本土沿岸では、見られるのが主に、黒潮に乗って迷い込んだ幼魚ということもあり、あまり食用とされることがありません。
しかし、沖縄では成魚が多数生息していることから、追い込み漁などで漁獲され、食用魚として流通しています。
上質に白身で、刺身や煮つけ、唐揚げなど多彩な料理に使われます。
通販で買える?見たい時は?
またその美しい体色から観賞魚としての評価も高く、特に小さくて飼いやすい幼魚はアクアリストの間で人気があります。
ミヤコテングハギは通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーからそれぞれの検索結果をチェックしてみてください。
水族館でもサンゴ礁の水槽などで飼育展示されることが多く、日本動物園水族館協会のデータベースによると2018年時点で、沖縄美ら海水族館、海遊館、鳥羽水族館、サンシャイン水族館など、全国の18ヶ所の水族館で飼育されています。
まとめ
ミヤコテングハギは、スズキ目ニザダイ科テングハギ属の海水魚です。
歌舞伎役者のようなカラフルな模様の顔を持つミヤコテングハギは、見ているだけでも視線を惹かれてしまいますが、食べても美味しいという、意外な側面を持ち合わせた魚です。
沖縄に行かない限り食べる機会にはなかなかめぐり合えないかも知れませんが、多くの水族館で飼育されている魚です。
水槽の中を泳ぐその姿を見つけた時には、ミヤコテングハギが持つ意外な側面を思い出しながら観察してみるのも楽しいのではないでしょうか?