丸みを帯びたずんぐりボディにつぶらな瞳。
そして、床を這うように懸命に移動する愛らしい姿でおなじみのアザラシ。
アザラシは約20種類に分類されますが、ここではアザラシ科アゴヒゲアザラシ属のアゴヒゲアザラシについて解説します。
アゴヒゲアザラシの基本情報
学名 | Erignathus barbatus |
英名 | Bearded seal |
分類 | ネコ目(食肉目)アザラシ科アゴヒゲアザラシ属 |
分布・生息域 | 北海道、北極圏 |
大きさ | 体長200cm~260cm、体重200kg~360kg |
生息地
アゴヒゲアザラシは海棲の哺乳類です。
北極海周辺やベーリング海、オホーツク海に分布しており、その半数がアラスカ海域に生息しています。
日本では北海道近海の流氷海域で姿を見られますが、それらの多くが子どものアザラシで、大人のアザラシはほとんど見ることができません。
一か所に定住せず、流氷とともに春から夏は北の海へ、秋から冬にかけては南下していきます。
用心深い性格で、めったに他の個体と同じ氷には上がらず、一定の距離を保つ習性があります。
氷上に十分なスペースがなく、近づかざるを得ない場合は、アゴヒゲアザラシはきっとストレスを感じているでしょうね。
得意の潜水で海に潜り、名前の由来となったヒゲで海底の泥を探って、貝やカニ、エビ、イカ、タコを食べます。
魚よりは無脊椎動物を好むらしいです。
天敵はシャチやホッキョクグマ。
アゴヒゲアザラシは主に4月に出産するが、母親の育児期間は3週間だけで、その後子どもは独り立ちして自力で捕食します。
アゴヒゲアザラシは25年から30年で一生を終えます。
身体的特徴
アゴヒゲアザラシといえば、なんといってもヒゲがトレードマーク。
このヒゲは感覚毛で太くて硬く、乾くと先がくるりとカールします。
頭部が小さいことも丸々としたスタイルを強調していて、見た目は癒し系動物といえますね。
体長は200センチメートルから260センチメートル、体重は200キログラムから360キログラム。
オスよりメスのほうが大きいのが特徴です。
身体の色は淡い灰色、濃い灰色、または茶褐色。
四肢に5本の指があり、指の間にはヒレがあります。
短い体毛に覆われた全身は、毛皮などの人間の生活用品として利用されてきた歴史があります。
アザラシとアシカの違い
アザラシとアシカは外見だけでなく知能が高いところも似ているが、まったく異なる動物です。
まず大きく違うのが耳の形。
アシカには耳たぶがあるが、アザラシは耳の位置に穴が開いているだけ。
また、アシカは後肢より前肢が発達しており、泳ぐときも前肢をとても器用に使います。
陸上に上がれば、後肢を前に折り曲げながら、前肢も同じように動かして移動します。
一方、アザラシは後肢のほうが発達しており、泳ぐときは前肢は使わず、後肢を交互に動かして前に進みます。
動物オリンピックで競泳したら、どちらが速いでしょうね。
タマちゃん、ナカちゃんブーム
2002年、多摩川に突如とした現れたオスのアゴヒゲアザラシ、タマちゃんがブームとなり、テレビや新聞でも頻繁に取り上げられて一世を風靡しました。
その後タマちゃんは横浜市港北区の鶴見川や西区の帷子川にも姿を見せ、西区より特別住民票を与えられました。
西区名誉区民、「ニシ タマオ」。
都市の河川や東京湾の状況へと人々の関心を向けさせた彼の功績はたいへん大きいですね。
2005年には徳島県の那賀川にナカちゃんが現れ、こちらもアイドルとなりました。
しかし、残念ながら、ナカちゃんは翌年中州で死亡しているのが確認されました。
アゴヒゲアザラシに会える水族館は?
アゴヒゲアザラシは日本では北海道のおたる水族館と大分県のうみたまごで見ることができます。
日本で飼育されているアザラシは、ほとんどが日本生まれとのことです。
最後に
近年、地球温暖化により流氷域が徐々に減少しています。
アゴヒゲアザラシの生息圏も脅かされつつあります。
アザラシのなかには絶滅の危機に瀕している種類もあるそうです。
そのため世界規模で保護活動が行われているのです。