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アマゴ(雨子・甘子) ~生態、釣り方と調理法、飼育法について 

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綺麗な渓流に住む魚といえば、すぐに浮かぶのはヤマメやイワナです。

ですが、日本固有の渓流魚はそれだけではありません。

忘れてはいけない魚がいます。

それは『アマゴ』です。

見た目にもとても美しい上、釣っても食べても楽しい渓流魚・アマゴについて紹介していきます。

 

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アマゴの生態

アマゴ

学名 Oncorhynchus masou ishikawae
英名 Land-locked trout / Cherry salmon / Masu salmon
分類 サケ目サケ科サケ属
分布・生息域 神奈川県以西の本州太平洋側、四国と九州の瀬戸内海側の一部河川
大きさ 25cmほど

 

アマゴは『雨子』や『甘子』とも表記され、梅雨などの雨が多い時期によく獲れることが由来となっています。

また、「甘」の字は「美味である」という意味も持っており、アマゴの身のおいしさを現したものだとされています。

 

分類上はサケ目サケ科サケ属で、海を生息域としていた魚が、河川や湖などで世代を繰り返すようになったサツキマスの陸封型の一種です。

 

身体には「パーマーク」と呼ばれる暗い青色の模様が10個前後並び、赤い斑点があるのが特徴です。

見た目自体はヤマメと非常に似ていますが、この赤い斑点で違いを見分けることが出来ます。

 

大体1年をかけて成熟し、その体長は25cmほどになります。

産卵を行うメスは、一度の産卵で死んでしまう個体と、翌年も産卵を行う個体がおり、産卵期は9月~12月頃。

小さな魚や虫、小型の甲殻類などを主食としている動物食性の渓流魚です。

 

水温が20度以下の渓流の中~上流域に生息し、イワナと住み分けを行うことで生活をしています。

イワナが見られない流域では、源流の方でも生息していることがあります。

 

性格はとてもずる賢く、どう猛でありながら臆病なのが特徴です。

少しの物音でも岩の下に隠れてしまうため、釣りなどを行う場合は自分の姿を見せないように注意し、音をたてないようにしなければなりません。

ですが、エサに対してはとても執着し、しつこく襲い掛かるという側面も持っています。

 

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アマゴの生息地域や分布

アマゴ

天然アマゴの分布は神奈川県より西の本州太平洋側。

それに四国と九州の瀬戸内海側の一部河川となります。

 

在来の個体は、森林伐採などによる生息環境の悪化により、その数を減らしてきています。

また、ヤマメの放流量も増加したことから分布が乱れてしまっているところもあるのです。

さらに、アマゴ自体の放流により、本来いるはずのない日本海側や琵琶湖でも生息が確認されています。

無秩序な放流により、ヤマメとアマゴの交配種が発見された地域も存在します。

 

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アマゴの釣り方と調理法

アマゴ

前述した通り、アマゴは動物食性なので基本的な餌釣りやルアー、毛バリなどで釣ることが出来ます。

旬の季節は春から夏にかけての時期。

赤みが薄く、ほのかに川魚の香りがします。

皮はヤマメのようにしっかりしていますが、身は柔らかくて熱を通すと独特の匂いがします。

 

もし店頭に並んでいるものを選ぶ場合は、身体の模様がしっかり残っている個体を選びましょう。

色が薄くなり、白っぽくなっているものは鮮度が落ちてしまっています。

また、大きければ大きいほど味がいいとされています。

 

食べ方も様々ですが、基本はヤマメと同じで素材の味をそのまま楽しめる塩焼きにしたり、油をつかって唐揚げや天ぷらでいただきます。

生食でも抜群に美味しいため、刺身にしたりカルパッチョにするのもおススメです。

味噌との相性もいいため、旬の物を味噌の煮つけにすれば脂のたっぷり乗った身が柔らかく仕上がります。

 

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アマゴの飼育法

アマゴ

アルビノのアマゴ

アマゴは、その美しい姿ゆえに観賞用にしたい!という声が多い魚でもあります。

ですが、アマゴだけでなく渓流魚は高温と水の汚濁に弱いため、飼育は上級者向けだといえます。

 

そもそも、アマゴの臆病な性格上、採集すること自体も難しいという欠点があります。

もし、採集しようとする場合は食用にする場合と違って針のカエシを潰しておき、釣り上げた時の個体へのダメージを最小限にしなければなりません。

また、魚は変温動物です。

ヒトが直接素手で触れるとヤケドしてしまいますので、十分に注意することが必要です。

 

移動させる際は、十分なエアレーションが必要なことに加え、水温を低く保たなくてはなりません。

そのための氷の準備が必要です。

水槽の中では、基本的な設備に加えて水温計で水温を適切に保つ必要があります。

アマゴは温度変化に弱い魚なので、ウォータークーラーで水温が20度を超えないように調節しましょう。

 

水槽自体も大き目のモノが必要です。

飼育されたアマゴの寿命は大体3~4年ほど。

その間に、体長は30センチほどまで育つ可能性があります。

なので、90~120センチの大きさの水槽がベストです。

 

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最後に

近年では西日本のスーパーなどでも店頭に並ぶようになったため、釣り人だけでなく一般の食卓にも上がることが増えてきたアマゴ。

これまでは中々馴染みのなかった魚ではないでしょうか。

ですが、アマゴは間違いなく日本古来の固有種であり、徐々に数を減らしつつある魚でもあります。

見た目も、釣っても、食べても楽しいアマゴ。

ヤマメやイワナだけでなく、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

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