皆さんはコンテリボウズハゼという魚をご存知でしょうか?
コンテリボウズハゼは南西諸島の渓流に暮らす、宝石のような青い輝きを持った、とても美しい魚です。
今回は、そんなコンテリボウズハゼの生態や特徴についてご紹介いたします。
コンテリボウズハゼの基本情報
学名 | Stiphodon atropurpureus |
英名 | Blue Neon Goby |
分類 | スズキ目ハゼ科ナンヨウボウズハゼ属 |
分布・生息域 | 琉球列島、太平洋北西部 |
大きさ | 4~5cm程 |
分類
コンテリボウズハゼ(Stiphodon atropurpureus)はスズキ目ハゼ科ナンヨウボウズハゼ属に属する両側回遊性の淡水魚です。
ハゼ科は世界の海域、汽水域、淡水域に暮らす大半が小型魚のグループで、これまでに2,000種以上が知られています。
その中でナンヨウボウズハゼ属は東南アジア周辺の河川に生息している仲間で、丸みを帯びた頭部と細長い円筒形の体が特徴。
これまでに36種が発見されています。
特徴
コンテリボウズハゼの体長は4~5cm程度。
体型は細長い円筒形で、頭部が丸みを帯び、口が下面に開いているのが特徴。
腹鰭が吸盤状になっていることはハゼ科の魚として珍しくありませんが、口も吸盤状になっていることは特異と言えるでしょう。
コンテリボウズハゼの体色は雄の場合、灰色に金属質の光沢を持った青色が重なってとても鮮明なのに対して、雌は褐色で比較的地味です。和名は雄の体色に由来しています。
同属のナンヨウボウズハゼやハヤセボウズハゼに似ていますが、胸鰭に小さい黒色の斑点がないことなどで区別できます。
生態
コンテリボウズハゼは太平洋北西部に分布している魚で、フィリピン、マレーシア、台湾、中国南部、韓国、日本から知られています。
日本国内では屋久島以南の琉球列島で見られます。
コンテリボウズハゼは比較的小さな河川の中流から上流にかけて生息しています。
清涼な水で流れの早い場所を好んでいて、流れに逆らって泳ぎ、川底の岩から岩へと飛び移るように移動します。
餌は岩に映えた藻類や、そこに付随しているバクテリアです。
コンテリボウズハゼは両側回遊性の魚で、川で孵化した稚魚は海へ下り、成長すると川へ戻って来て、上流まで遡上することが知られています。
絶滅の危惧
コンテリボウズハゼは渓流に生息する小型な底生魚であるため、漁獲の対象とはならず、食用魚として利用されることはありません。
しかし、その美しい体色から観賞魚としての需要が生まれており、そうした目的での採集が生存の脅威となっています。
コンテリボウズハゼの生息地は島嶼部の小さな河川であり、元々の個体数が少ないため、少数の採集であっても個体群への打撃になってしまう恐れがあります。
また開発による生息環境の破壊も深刻な問題で、環境省のレッドリストではコンテリボウズハゼを絶滅危惧ⅠA類としています。
コンテリボウズハゼは国内では非常に個体数が少ないため、飼育展示を行っている水族館は、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点では存在しません。
同属のナンヨウボウズハゼであれば、沖縄美ら海水族館とアクアマリンふくしまの全国の2ヶ所の水族館で飼育されています。
まとめ
コンテリボウズハゼは宝石のように美しい青い輝きを持つ魚ですが、流れの早い渓流に暮らしている上、海へ下って成長する習性を持つために、個人での飼育や繁殖は困難です。
国内では絶滅の危機に瀕している種であるということも踏まえて、安易に採集したり、飼育を試みたりするのは控えなければなりません。