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イトヒキフエダイ ~シガテラ毒には注意!生態や特徴について

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皆さんはイトヒキフエダイという魚をご存知でしょうか?

イトヒキフエダイは赤みを帯びた体に青い線がいくつも走る、美しい魚ですが、同時にとても美味しいことで知られています。

今回は、そんなイトヒキフエダイの生態や特徴、シガテラ毒についてご紹介いたします。

 

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イトヒキフエダイの基本情報

イトヒキフエダイ

学名 Symphorus nematophorus
英名 Chinamanfish
分類 スズキ目フエダイ科イトヒキフエダイ属
分布・生息域 紀伊半島以南 / 西部太平洋
大きさ 35cm程

 

分類

イトヒキフエダイ(Symphorus nematophorus)はスズキ目フエダイ科イトヒキフエダイ属に属する海水魚です。

フエダイ科は世界の熱帯・亜熱帯海域に分布している中型から大型の肉食魚のグループで、これまでに100種余りが記載されています。

その中でもイトヒキフエダイ属は、イトヒキフエダイ1種のみしか知られていません。

イレズミフエダイ(Symphorichthys spilurus)とは別属ながら、比較的近縁とされています。

 

特徴

イトヒキフエダイ

イトヒキフエダイの体長は通常35cm程度ですが、最大1mに達した個体の記録があります。

体型は左右に側扁していて、体高が高く、背鰭の第3~第6軟条が長く伸びるのが最大の特徴。

その様子が糸を引くように見えることから和名の由来となりました。

この背鰭は、成長に従って短くなってゆきます。

 

イトヒキフエダイの体色は変化が激しいのですが、赤色から褐色です。

体側面には青色の縦線が10本前後走ります。

 

同属のイレズミフエダイとの違いは、尾柄部の黒色の斑紋が存在していないことです。

 

生態

イトヒキフエダイ

イトヒキフエダイは西部太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布している魚で、西はアンダマン海から東はバヌアツまで、北は南日本から南はオーストラリア北部までで知られています。

日本国内では紀伊半島以南の太平洋側や琉球列島で見られます。

 

イトヒキフエダイは水深20~100mのサンゴ礁や岩礁に生息していて、単独で暮らします。

餌は主に小型の魚ですが、貪欲な肉食魚で口に入るような小動物であれば何でも食べてしまいます。

 

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美味しいけどシガテラ毒には注意

イトヒキフエダイは釣りによって漁獲されており、美味しい魚として知られています。

特に個体数の多い沖縄では高値で取引がされるようです。

身は赤みを帯びた白身で、刺身や塩焼きにする他、沖縄では少量の塩水で蒸し煮にするという調理も行われています。

 

ただし、熱帯海域に暮らす大型の肉食魚であり、シガテラ毒による中毒事故が発生していることから、特に老成魚には注意が必要です。

シガテラ毒とは、熱帯から亜熱帯の海域に発生するプランクトンが持つ毒素です。

 

小魚や底生生物がこのプランクトンを、またはそれが付着した海藻類を採食するとこの毒素が食べた生き物の体内に蓄積されます。

そしてこの生き物を捕食した大型の魚などの体内に毒素が溜まります。

そしてさらに、この大型魚を食べた人間がシガテラ中毒を起こす事があります。

 

中毒症状は、吐き気・腹痛・下痢といった食中毒に似た軽症から、目まい・血圧低下・筋肉痛から麻痺や神経障害など重症化する可能性もあります。

だだし日本国内では死亡例はありません。

 

シガテラ毒による特徴的な神経障害は「ドライアイスセンセーション」と呼ばれています。

温度感覚の異常がでる障害で、冷たい物に触れた感覚が痛みと感じるほど過敏になる異常です。

シガテラ毒の中毒に対する治療は確立されていませんが、症状の緩和は可能です。

 

シガテラ毒は加熱処理でも消滅しません。

大型の魚を食べた後に、ドライアイスセンセーションが出たら直ぐに病院に行きましょう。

 

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見たい時は?

イトヒキフエダイは水族館でも飼育展示されることがあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、沖縄美ら海水族館と名古屋港水族館の全国の2ヶ所の水族館で飼育されています。

 

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まとめ

イトヒキフエダイは赤みを帯びた体色が、どこかマダイにも似ていて、実際にとても美味しい白身魚なのですが、恐ろしいシガテラ毒を持つ可能性がある魚でもあります。

皆さんもイトヒキフエダイを食される際には、安全な個体かどうか、十分に確認してから調理しましょう。

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