アカヒトデ目 カ行 コブヒトデ科

コブヒトデ ~特徴や生態、飼育について

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皆さんはコブヒトデという生物をご存知でしょうか?

その名の通り体の表面のようにコブのように盛り上がった突起があるヒトデの仲間で、サンゴ礁で見られる種類です。

今回はそんなコブヒトデの特徴や生態についてご紹介いたします。

 

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コブヒトデの基本情報

コブヒトデ

学名 Protoreaster nodosus
英名 Chocolate chip star
分類 棘皮動物門ヒトデ綱アカヒトデ目コブヒトデ科コブヒトデ属
分布・生息域 奄美大島以南 /インド洋・西部太平洋
大きさ 最大30cm

 

分類

コブヒトデ

コブヒトデ(Protoreaster nodosus)は棘皮動物門ヒトデ綱アカヒトデ目コブヒトデ科コブヒトデ属に属するヒトデです。

コブヒトデ属にはコブヒトデの他、Protoreaster linckii種とProtoreaster nodulosus種が属しているおり、合わせて3種から構成されています。

Protoreaster linckii種は、褐色のコブヒトデに対して、赤みの強い種類で、ヒメコブヒトデという和名が使われることもあるようです。

ちなみにコブヒトデの命名者は、分類学の父とも言われるカール・フォン・リンネであり、1758年という早い時期に記載されたヒトデです。

 

特徴

コブヒトデ

コブヒトデは大型のヒトデで、最大30cmに達します。

ヒトデの仲間としては最も一般的な5本の腕を持つタイプで、ヒトデの英名であるstarfish(星の魚)またはsea star(海の星)に象徴されるような星形に近い体型を持つ種類です。

背部は分厚く盛り上がっていて、腕の断面は三角形状になっています。

そして、腕と盤の上にコブのような突起物が並んでいるのが最大の特徴で、和名の由来にもなっています。

 

コブヒトデの体色は淡い褐色ですが、5本の腕の先端は濃いめの褐色となり、更に体表上のコブの部分は黒に近い褐色と色が濃くなっていきます。

そのコブの色から、英名ではChocolate chip star(チョコレートチップスター)と呼ばれることもあります。

ただし、体色は個体によって変異が大きく、濃淡にもかなり差があるようです。

 

生態

コブヒトデ

コブヒトデはインド洋から西部太平洋にかけての熱帯・亜熱帯海域に分布しているヒトデで、セイシェル諸島からインドネシア、オーストラリア、パラオ、南日本などで知られています。

国内では奄美大島以南の琉球列島で主に見られますが、和歌山県の串本などでも見つかっています。ただし、串本で見られたコブヒトデは、あまり成長していない小さな個体だったようです。

 

コブヒトデは沿岸の浅い海に生息していますが、サンゴ礁よりも砂地になった場所を好むヒトデで、特にアマモ類が成育する藻場でよく見られます。

コブヒトデは他のヒトデ類と同様に肉食性で、貝類や、同じ棘皮動物であるウニ類を捕食したり、生物の死骸を食べたりします。

特に毒性は知られておらず、コブヒトデを捕食する天敵としてはモンガラカワハギやハコフグ、ブダイ類、そしてフリソデエビなどが存在します。

一説には、コブヒトデの特徴的なコブは天敵を威嚇するために発達したのではないかとも言われています。

 

1つの場所に多くのコブヒトデが集まる現象が観察されていますが、それが産卵において受精の可能性を高めるために行っているのか、単に餌が豊富な場所だから集まっているだけなのか理由はよく分かっていません。

 

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フリソデエビの餌として飼育??

ヒトデ類は食用に利用されることはあまりありませんが、熱帯アジアの沿岸や南太平洋の島々では、コブヒトデを捕まえて乾燥させたものの取引が行われており、飾り物などに加工されています。

そのため、一部の地域では乱獲が懸念されているようです。

 

まだコブヒトデ自体を目的として飼育するアクアリストはあまり多くないのですが、天敵であるフリソデエビの餌として用いるために販売されることがあります。

フリソデエビはサンゴ礁に生息する美しく可憐な姿のエビでアクアリストの間で人気が高いのですが、ヒトデ類を専門に捕食する変わった習性を持っており、大きく個体数も豊富なコブヒトデに、その餌用としての白羽の矢が立った格好と言えるでしょう。

 

コブヒトデは水族館で飼育展示されることもあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2018年現在、沖縄美ら海水族館、須磨海浜水族園、のとじま臨海公園水族館、アクアのリンふくしまなど、全国の29ヶ所の水族館で飼育されています。

 

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まとめ

コブヒトデは、棘皮動物門ヒトデ綱アカヒトデ目コブヒトデ科コブヒトデ属に属するヒトデです。

コブヒトデはサンゴ礁があるような海域ではごく普通に見られる個体数の多いヒトデで、国内で飼育している水族館も多数存在します。

熱帯の海の大きなヒトデで、しかも特に毒を持っていないのでオニヒトデのような危険性もありませんから、ご覧になる機会があれば、じっくりと観察してみてはいかがでしょうか?

 

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