皆さんはクサウオという魚をご存知でしょうか?
クサウオは名前もよくなければ、姿形も皮膚がブヨブヨとした何とも言えない不気味な魚です。
しかし、食べてみると意外に美味しいという評判もちらほら。
今回は、そんなクサウオの特徴や生態についてご紹介いたします。
クサウオの基本情報
学名 | Liparis tanakae |
英名 | Snailfishes |
分類 | スズキ目クサウオ科クサウオ属 |
分布・生息域 | 北海道南部~長崎県、太平洋北西部 |
大きさ | 40cmほど |
分類
クサウオ(Liparis tanakae)はスズキ目クサウオ科クサウオ属に属する海水魚です。
クサウオ科は世界中の海域に分布しており、特に南極海や北極海といった寒冷な海域、そして深海域に多くの種が知られています。
底生性で吸盤状に発達した腹鰭で海底を腹這いながら進むのが特徴で、これまでに300種以上が記載されています。
その中でもクサウオ属は現在までに60種が発見されています。
特徴
クサウオの体長は最大で47cmに達した記録があります。
体型は細長くやや側扁していて、皮膚が柔らかく全身がブヨブヨとしているのが特徴。
頭部は幅広で鼻孔が2対あり、腹鰭が吸盤状となっています。
クサウオの体色は淡い灰色を基調としていますが、個体差が大きく、赤みを帯びたり黒みを帯びたりと多様です。
多くの個体には、暗褐色の斑紋が全身に散在します。
また尾鰭基底には明瞭な白色斑が見られることが大きな特徴です。
生態
クサウオは太平洋北西部の温帯海域に分布する魚で、日本列島周辺から東シナ海、黄海、渤海、日本海、オホーツク海、千島列島にかけて知られています。
日本国内では北海道南部から長崎県、瀬戸内海にかけてで見られます。
クサウオは水深50~121mのやや深い泥質の海底に生息している肉食魚です。
コチ類など小型の底生魚類や、エビやカニなどの甲殻類を捕食します。
クサウオの繁殖期は冬季で、成魚は内湾へ来遊し、砂泥底で産卵を行うことが知られています。
産まれた卵塊は海藻に付着します。
食べられる?観たい時は?
クサウオは食用魚としてあまり一般的ではありませんが、地域によっては食用にされており、底曳網などで漁獲されます。
見た目が醜い魚であることと、身が水っぽく調理法に工夫が必要なことから、市場での評価も高くなく、安値で取引されているのが現状です。
ただし、癖がなく意外に美味しいという声も少なからずあり、煮つけや唐揚げなどにして食べられています。
今後、食用魚としての評価がどう変わってゆくのか注目するべき魚と言えるでしょう。
またクサウオは水族館で飼育展示されることがあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、宍道湖自然館ゴビウス、しまね海洋館アクアス、のとじま臨海公園水族館、マリンピア日本海など、全国の5ヶ所の水族館で飼育されています。
最後に
人によってはグロテスクと表現しそうな外見を持つクサウオですが、意外と美味しいのではないかとの声が強まりつつあるクサウオ。
食用魚としてはまだまだマイナーな魚と言えますが、今後どのような評価を受けることになるのか、注目したいところですね。