ヒトヅラハリセンボンという魚をご存知でしょうか。
名前の通りハリセンボンの仲間ですが、何だか不思議な名前をしています。
今回は、このヒトヅラハリセンボンの名前の由来や生態についてご紹介していきたいと思います。
ヒトヅラハリセンボンの基本情報
学名 | Diodon liturosus |
英名 | Black-blotched porcupinefish / Bleeker's porcupinefish |
分類 | フグ目ハリセンボン科ハリセンボン属 |
分布・生息域 | 紀伊半島以南、インド洋、西大西洋、中部東太平洋 |
大きさ | 50cm程 |
ヒトヅラハリセンボンは、インド洋~西大西洋、中部東太平洋などの暖かい海を好み、水深30~90メートルの沿岸の岩礁や、サンゴ礁に住んでいます。
国内では南西諸島以南に多いのですが、紀伊半島でも見ることが出来ます。
暖かいところが好きな魚ですが、時々うっかり暖流に乗ってしまい、冬場に海岸に大量漂着することがあります。
もちろん寒い海には適応できないので、子孫を残すことは出来ません。
名前の由来
ヒトヅラ=人面というのは簡単に想像できますが、顔つきを見て「人面というほどでは…」と思われるかもしれません。
実は名前の由来、一説によると顔ではなく「体の斑点が上から見ると人面に見えるから」という説があります。
正直、人の顔にはあまり見えないのですが、まあ子供の落書きと言われてみればわかるかな、という程度です。
ちなみにハリセンボンには針(棘)は1000本もなく、だいたい350本程度です。
かなり盛っていますが、これは昔の人が「1000本くらいありそうだ」と思ったところから来た名前でしょう。
生態
ヒトヅラハリセンボンは通常、昼間の間は岩やサンゴの影などにじっと息をひそめています。
主な活動時間帯は夜で、その時間になると捕食のために活動します。
あんな小さな口ですが、歯は丈夫で、貝類や甲殻類、果てはウニなどをバリバリと噛み砕いて食べてしまいます。
この魚は敵が近付くと大きく膨らみ、ハリセンボンの名の通りに棘を立てて相手を威嚇します。
実はこの時、空気ではなく水を取り込んで膨らんでいるのです。
泳ぐのがあまり早くはないため(ダイビングで簡単に手で摑まえられる程度)、このような威嚇行動に出るのですね。
なお、ヒトヅラハリセンボンは通常、群れを作らず、単独で行動しています。
実は美味しい魚です
ハリセンボンは食用になります。
有名なところでは沖縄で、「アバサー汁」という郷土料理にされています。
他には台湾で刺身や湯引きが提供されます。
あの棘を上手く剥くのはとても大変そうですね。
他にはから揚げなどにも利用される、あっさりした白身の魚です。
フグのように膨らみますが、身はもちろん、皮や肝にも毒はありません。
といっても卵だけは例外で、卵には毒があります。
絶対に食べないでくださいね。