皆さんはカラカサクラゲという生物をご存知でしょうか?
カラカサクラゲは名前のごとく、唐傘を連想させる雅やかな姿をしたクラゲです。
今回は、そんなカラカサクラゲの生態や特徴についてご紹介いたします。
カラカサクラゲの基本情報
学名 | Liriope tetraphylla |
分類 | ヒドロ虫目オオカラカサクラゲ科カラカサクラゲ属 |
分布・生息域 | 世界各地の熱帯海域から温帯海域 |
大きさ | 傘径3~30mm |
分類
カラカサクラゲ(Liriope tetraphylla)は刺胞動物門ヒドロ虫綱ヒドロ虫目オオカラカサクラゲ科カラカサクラゲ属に属する海洋生物です。
一般にクラゲと呼ばれている生物の多くは鉢虫綱に属していますが、綱レベルで分類が異なる種が多く含まれており、ヒドロ虫綱はクラゲ型とポリプ型の両段階を持つことが特徴です。
カラカサクラゲの他に、危険なクラゲとして有名なカツオノエボシなどもこのグループに含まれています。
特徴
カラカサクラゲの傘径は3~30mmでゼラチン質は厚みがあり、放射管は4本あります。
傘中央から長く伸びた筒状の口柄が、あたかも唐傘のように見えることが和名の由来。
口柄の先端部は胃部となっていて口が開いています。
触手は8本あって、下向きで長い4本と上向きで短い4本に分かれます。
触手の基部には膨らみがなく、平衡器が見られます。
カラカサクラゲの刺胞毒はそれほど強くはないものの、手で触れると全く痛みを感じない訳ではないので、触れる際には注意が必要です。
生態
カラカサクラゲは世界各地の熱帯海域から温帯海域にかけての沿岸部で確認されており、広範な分布域を持つと考えられています。
日本でもほぼ全国の沿岸で普通に見られ、特に秋から冬にかけて大量発生し、多くの個体が海岸に打ち上げられることがあります。
カラカサクラゲは水深0~260mまでで記録がありますが、通常は水深3~10mの海中を漂っていることが多いようです。
ヒドロ虫綱に属していますが、ポリプの世代が存在しない終生浮遊性の生物で、口柄の先端に開いた口でプランクトンを吸い取って捕食します。
飼育できる?観たい時は?
カラカサクラゲは飼育されることもありますが、長期飼育は難しいようです。
ポリプ世代が存在しないために繁殖が困難で、野外からの採集に頼らざるを得ないのもその一因でしょう。
それでもカラカサクラゲの飼育を試みている水族館はあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、大分マリーンパレス水族館うみたまご、志摩マリンランド、鴨川シーワールド、加茂水族館の全国で4ヶ所の水族館が飼育を行っています。
最後に
水族館ではなかなか展示されることがないカラカサクラゲですが、沿岸部では比較的よく見られるクラゲです。
もし海岸で大量にクラゲが打ち上げられている場面に遭遇した時は、その姿を観察してみましょう。
優美な唐傘を持つカラカサクラゲかも知れません。