皆さんはキヘリモンガラという魚をご存知でしょうか?
キヘリモンガラはユニークで愛嬌のある姿をした魚ですが、実はとても荒っぽい性格の持ち主で、海底で遭遇するダイバーたちには恐れられている魚です。
今回は、そんなキヘリモンガラの生態や特徴についてご紹介いたします。
キヘリモンガラの基本情報
学名 | Pseudobalistes flavimarginatus |
英名 | Yellowmargin triggerfish |
分類 | フグ目モンガラカワハギ科キヘリモンガラ属 |
分布・生息域 | 相模湾以南、インド洋、中・西部太平洋 |
大きさ | 40cmほど |
分類
キヘリモンガラ(Pseudobalistes flavimarginatus)はフグ目モンガラカワハギ科キヘリモンガラ属に属する海水魚です。
モンガラカワハギ科は世界の熱帯・亜熱帯海域の、主にサンゴ礁に生息しているグループで、カワハギやウマヅラハギといった食用魚が属するカワハギ科とは近縁になります。
左右に平たく著しく側扁した体型はカワハギ科と共通しますが、モンガラカワハギ科には鮮やかな色彩を持つ種類が多いことが特徴です。
その中でもキヘリモンガラ属はキヘリモンガラ、イソモンガラ、Pseudobalistes naufragium種(和名なし)の3種のみからなります。
特徴
キヘリモンガラの体長は最大で60cmに達します。
体型は著しく側扁していて、体高が高いのが特徴。
吻部は鱗に覆われません。
キヘリモンガラの体色は灰色ですが、吻部の周辺は黄色みを帯びる他、背鰭、臀鰭、尾鰭も外縁部が明るい黄色に縁取られます。
幼魚は全体的に黄色っぽくなり、別属のゴマモンガラの幼魚に酷似します。
生態
キヘリモンガラはインド洋から中・西部太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布している魚で、西は紅海や南アフリカから東はポリネシアまで、北は南日本から南はオーストラリア北部までで知られていいます。
国内では相模湾以南の太平洋側と山口県以南の日本海側、琉球列島で見られます。
キヘリモンガラは水深2~50mの浅い海のサンゴ礁に生息していて、エビやカニなどの甲殻類や貝類、小型の魚類を捕食する他、付着藻類を食べることもある雑食性の魚です。
キヘリモンガラは繁殖に当たって、海底の砂地にすり鉢状の巣を作り、産みつけた卵を保護します。
卵を守るためには自分より大きな相手にも突進して立ち向かう勇猛さを持ち、その対象はスキューバダイビングで接近する人間も例外ではありません。
キヘリモンガラの幼魚は漂流物や流れ藻などにつくことが知られています。
食べられる?
キヘリモンガラは沖縄県では上質の白身を持つ食用魚として知られており、量は多くないものの漁獲されて、市場に流通しています。
刺身で食されることもありますが、沖縄独自の味噌汁である魚汁に調理されることが多いようです。
見たい時は?
また、繁殖期のキヘリモンガラは卵を守るために、巣に接近する者に対して容赦のない攻撃を加える習性があります。
そのため、スキューバダイビングで接近した人が噛まれてしまう被害が発生することがあります。
キヘリモンガラを含むモンガラカワハギ科の魚はとても強靭な歯を持っており、噛まれると危険です。
キヘリモンガラは水族館で飼育展示されたことも過去にありましたが、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、キヘリモンガラを飼育している水族館は日本にありません。
最後に
その攻撃性からダイバーたちの間ではとても恐れられているキヘリモンガラ。
しかし、それも卵を守るために自分より大きな相手へ懸命に立ち向かっていると考えれば、また見方が変わってくるのではないでしょうか?
危険な魚と言われがちなキヘリモンガラですが、実はとても愛情深い魚なのかも知れません。