皆さんはイシダタミヤドカリという生物をご存知でしょうか?
イシダタミヤドカリは長い剛毛で蓋われた大型のヤドカリで、かなり迫力のある姿をしています。
今回は、そんなイシダタミヤドカリの特徴や生態についてご紹介いたします。
イシダタミヤドカリの基本情報
学名 | Dardanus crassimanus |
分類 | 節足動物門軟甲綱十脚目ヤドカリ科ヤドカリ科 |
分布・生息域 | 東京湾以南、インド洋、西部太平洋 |
大きさ | 5cmほど |
分類
イシダタミヤドカリ(Dardanus crassimanus)は節足動物門軟甲綱十脚目ヤドカリ科ヤドカリ科に属する海洋生物です。
十脚目はエビ類やカニ類、ヤドカリ類といった世間一般で甲殻類と見なされている生物の大半が属するグループです。
ヤドカリ科はヤドカリ上科に含まれる6つの科のうちの1つで、世界から400種以上が知られており、巻貝の殻の中に腹部を収めて、頭胸部だけを出す最もよく知られている形態のヤドカリ類が含まれています。
特徴
イシダタミヤドカリの甲長は約5cmになります。
甲は平滑で、右側に比べて左側の鋏脚が著しく大きいのが特徴。
全身が鋭い棘と、長い剛毛で密に覆われています。
剛毛は第1歩脚と第2歩脚の先端までを縁取っています。
イシダタミヤドカリの体色は赤褐色で、各歩脚の腕節と長節、そして眼柄には淡紅色の帯が見られます。
生態
イシダタミヤドカリはインド洋から西部太平洋にかけての熱帯・亜熱帯海域に広く分布している海洋生物で、西は東アフリカから東は日本までで知られています。
国内では東京湾以南で見られるヤドカリです。
イシダタミヤドカリは水深20~30mの、サンゴ礁や岩礁に生息していて、砂泥底になった場所を好みます。
雑食性で藻類から生物遺骸、海底のデトリタスなどが餌です。
宿貝には比較的大型の巻貝を利用していて、サザエやナガニシ、ヤツシロガイがよく使われています。
貝殻にはイソギンチャクが付着していることがあり、天敵となる大型肉食魚から身を守るためだと考えられます。
食べられる?
イシダタミヤドカリは通常漁獲の対象とはなっていませんが、底曳網漁で混獲されていて、産地では食べられることがあります。
神奈川県では他の種類の大型ヤドカリと共に「アマガニ」と呼ばれていて、刺身や味噌汁などに調理されます。
またイシダイなどを狙った釣りの餌に使われることもあるようです。
見たい時は?
イシダタミヤドカリは大型のヤドカリであるために、アクアリストの間では飼育の対象となることもあります。
イシダタミヤドカリは水族館で飼育展示されることもあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、かごしま水族館、須磨海浜水族園、マリンピア日本海、鴨川シーワールドなど、全国の19ヶ所の水族館で飼育されています。
まとめ
大型のヤドカリの仲間としては日本沿岸でもよく見られるイシダタミヤドカリ。
食材としては他の種類のヤドカリとごっちゃにされ、水族館でも目立つ場所で展示されていることは少ないので、その存在には気づきにくいかも知れませんが、意外と日本人にとっては身近なヤドカリと言えるでしょう。