皆さんはハナミノカサゴという魚をご存知でしょうか?
もしかするとミノカサゴという大きな胸鰭と華やかな模様で知られる魚を知っている方がおられるかも知れませんが、ハナミノカサゴはそのミノカサゴと近縁でありながらも別の種類の魚です。
今回は、そんなハナミノカサゴの特徴や生態、毒性についてご紹介いたします。
ハナミノカサゴの基本情報
学名 | Pterois volitans |
英名 | Red lionfish |
分類 | カサゴ目フサカサゴ科ミノカサゴ属 |
分布・生息域 | 房総半島以南、東部インド洋、中・西部太平洋 |
大きさ | 30cm程 |
分類
ハナミノカサゴ(Pterois volitans)はカサゴ目フサカサゴ科ミノカサゴ属に属する海水魚です。
カサゴ目は世界中の海域と淡水域に分布する、眼下骨棚と呼ばれる骨格上の特徴によってまとめられたグループです。
これまでに1,400種以上が知られており、カサゴやホウボウ、マゴチなど底生生活に適応した種類が多くを占めています。
その中にあってフサカサゴ科は頭部に多くの突起や棘を備え、皮弁を複雑な形状に発展させていることが特徴。
その一角を占めるミノカサゴ属はインド洋から太平洋にかけての熱帯・亜熱帯海域に分布する10種からなります。
特徴
ハナミノカサゴの体長は30cm程度で、最大38cmに達した個体の記録があります。
体型は楕円形で側扁していて、各鰭が大きく発達することが特徴。
とりわけ胸鰭は翼のように大きく、また背鰭の棘条も長く伸びて目立ちます。
そして頭部には皮弁があり、目の上のものは角のように、口の周りのものは髭のようにそれぞれ見えます。
各鰭の先端に伸びた棘には毒があり、刺されると激しく痛むので注意が必要です。
体色は白色と褐色の縦縞模様で、姿形と共に近縁のミノカサゴとよく似ています。
しかし、胸部に縞模様を持つことや、各鰭の柔条に小さな黒い斑紋があることで見分けられます。
生態
ハナミノカサゴは東部インド洋から中・西部太平洋にかけて分布する魚です。
東はピトケアン諸島から西はココス諸島やオーストラリア西部まで、北は南日本及び朝鮮半島南部から、南はロードハウ島やニュージーランド北部までで知られています。
近年アメリカの東海岸でも発見されていますが、人為的に持ち込まれた移入種であると考えらます。
日本国内では房総半島以南の太平洋側や九州沿岸、琉球列島や伊豆諸島から小笠原諸島にかけて見られる魚です。
ハナミノカサゴは水深2~55mの浅い海の岩礁やサンゴ礁に生息しており、クロホシイシモチなどと一緒に泳ぐ姿がよく観察されます。
餌は小型の魚や、エビやカニなどの甲殻類で、大きな胸鰭を広げて、小さな魚を追い込むように捕食します。
ハナミノカサゴは粘液の卵嚢に包まれた卵を産むことが知られていて、寿命は10年ほどとされています。
食べられるけど毒棘には注意!
ハナミノカサゴは定置網や刺網、釣りなどで漁獲されており、食用魚としても利用されます。
水産上の重要種を多く含むフサカサゴ科にあって、ハナミノカサゴも上質の白身を持つ美味な魚です。
ただし、各鰭には毒を持つ棘があり、取り扱いには慎重を期さねばなりません。
死亡例こそ報告されていないものの、うっかり刺されると
・患部の腫れ、激しい痛み、眩暈、吐き気、頭痛
といった症状が起こります。
刺された痛みで失神することもあるらしいので、ダイビングの際にハナミノカサゴを見かけても、くれぐれも触らないように気を付けましょう。
観たい時は?
海中で大きな胸鰭を使ってゆったりと泳ぐハナミノカサゴは、見た目の華やかさも手伝って優雅で美しく、スキューバダイビングにおいても人気の魚です。
そしてその美しさから、観賞魚としての人気も高く、アクアリストの間で飼育が行われます。
ただし、いずれにしても接近したり捕らえる時には、くれぐれも棘に刺されないように注意しなれればなりません。
ハナミノカサゴは水族館でも飼育展示が行われることがあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、沖縄美ら海水族館、須磨海浜水族園、鳥羽水族館、東京都葛西臨海水族園など、全国の30ヶ所の水族館で飼育されています。
ハナミノカサゴは通販で買える?
ハナミノカサゴは楽天などの通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーから楽天市場での検索結果をチェックしてみてください。
まとめ
美しい花には棘があると言われますが、ハナミノカサゴはその言葉を文字通り体現してしまった魚と言えるでしょう。その優美な姿はとても魅力的ですが、大いなる危険を孕んでいるのです。とは言え、その姿形の美しさに加えて、食べても美味しいというのですから、どうしても人を惹きつけてしまう魚と言えるかも知れません。多くの水族館で飼育されている魚ですので、皆さんも一度お近くの水族館でハナミノカサゴをご覧になってみてはいかがでしょうか?