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クロユリハゼ ~生態や特徴について

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皆さんはクロユリハゼという魚をご存知でしょうか?

クロユリハゼは、その名前のごとく体色が黒と白の二色に綺麗に分かれているハゼの仲間で、サンゴ礁を優雅に泳ぐその姿はさながら貴婦人を思わせる魚です。

今回は、そんなクロユリハゼの生態や特徴についてご紹介いたします。

 

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クロユリハゼの基本情報

学名 Ptereleotris evides
英名 Blackfin gudgeon
分類 スズキ目オオメワラスボ科クロユリハゼ属
分布・生息域 房総半島以南の太平洋側や琉球列島、インド洋、中・西部太平洋
大きさ 10cm程

 

分類

クロユリハゼ(Ptereleotris evides)は、スズキ目オオメワラスボ科クロユリハゼ属に属する海水魚です。

オオメワラスボ科はハゼ科やカワアナゴ科などと共にハゼ亜目というグループを構成する仲間で、広義のハゼの一種と言えます。

ハゼ類の大半の種が属するハゼ科とは科レベルで分類が異なるものの、実際オオメワラスボ科の魚も細長く円筒形の典型的なハゼ類の体型を持っており、一般的にはハゼの一種という認識で支障はなさそうです。

ハゼ科の大半の種は海底を好む底生魚であるのに対して、オオメワラスボ科は遊泳性の強い種が多いことが特徴で、これまでに10属70種余りが知られています。

 

生態

クロユリハゼはインド洋と中・西部太平洋に広く分布する魚で、西は東アフリカ沿岸や紅海から東はポリネシアのラパ島まで、北は南日本から南はオーストラリアのロードハウ島までで知られています。

国内では房総半島以南の太平洋側や琉球列島、八丈島、小笠原諸島で見られます。

クロユリハゼの生息環境は水深2~15mのサンゴ礁や岩礁で、砂地になった場所を好みます。

多くが底生魚のハゼ類にあって、クロユリハゼは海底から離れた中層付近を泳いでいます。

クロユリハゼの餌は海中を漂う動物プランクトンで、そのために潮通しのよい場所によく姿を現します。

幼魚の間は群れをなしますが、成魚になると単独あるいはペアで行動します。

 

特徴

クロユリハゼの体長は10cm程度で、最大14cmの個体の記録があります。

クロユリハゼの体型は細長くて円筒形で側扁しており、尾鰭はやや深く湾入します。

そして、発達した第二背鰭と尻鰭が綺麗に相対しているのが最大の特徴です。

 

クロユリハゼの体は前半部が淡く青みを帯びますが、後半部は濃い暗色で、まるで黒いスカートを穿いているかのような姿をしています。

その姿が印象的なことから、黒百合という名前を和名に冠する由来となりました。

 

ちなみに、クロユリハゼの幼魚は全身が半透明で第二背鰭と尾鰭の縁が黒くなっており、その姿は成魚と大きく異なります。

サンゴ礁で天敵に見つかりにくい保護色として機能していると考えられます。

 

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観賞魚としてのクロユリハゼ

クロユリハゼは稀に釣り人の手で釣り上げられることもあるようですが、小さいこともあり、通常食用魚として利用されることはありません。

 

ただし、その可憐な姿から、観賞魚としてはアクアリストたちから好まれて飼育されることがあります。

もっとも、繊細な性質で、驚くと水槽から飛び出すこともあるので、水槽に厳重に蓋をしておくなどの注意が必要です。

また、餌が動物プランクトンであることから、給餌が難しく、長期飼育が成功することは少ないようです。

 

 

 

クロユリハゼは水族館で飼育展示されることもあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2018年現在、沖縄美ら海水族館、串本海中公園、鴨川シーワールド、アクアマリンふくしまなど全国の17ヶ所の水族館で飼育されています。

 

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まとめ

クロユリハゼは、スズキ目オオメワラスボ科クロユリハゼ属に属する海水魚です。

サンゴ礁の潮通しのよい場所で、背鰭と尻鰭を立てた独特のポーズでホバリングしているかのような泳ぎ方をしている姿がよく見られる魚で、訪れたダイバーたちを魅了しています。

綺麗な体色に加えて、その優雅な泳ぎ方は可憐そのものです。

水族館で展示されることもあるので、皆さんも一度はこの海中の貴婦人をご覧になってみてはいかがでしょうか?

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