皆さんはナミダクロハギという名前の魚をご存知でしょうか?
恐らく聞いたこともないという方がほとんどなのではないでしょうか?
しかし、このナミダクロハギ、実はとても日本とゆかりのある魚なんです。
今回は、そんなナミダクロハギの特徴や生態についてご紹介いたします。
ナミダクロハギの基本情報
学名 | Acanthurus japonicus |
英名 | Powder Brown Tang |
分類 | スズキ目ニザダイ科クロハギ属 |
分布・生息域 | インド洋、西部太平洋などの熱帯・亜熱帯海域 |
大きさ | 17cm程 |
分類
ナミダクロハギ(Acanthurus japonicus)は、スズキ目ニザダイ科クロハギ属の海水魚です。
ニザダイ科は世界の熱帯・亜熱帯海域に分布し、多様な色彩・体型を持つグループで、その中でもクロハギ属は38種が発見されている最大の属です。
ナミダクロハギの学名Acanthurus japonicusのうち、前半の属名「Acanthurus」はクロハギ属の意味ですが、後半の「japonicus」は日本を意味しています。
琉球列島が主要な分布海域であることによるのでしょうが、そのためにナミダクロハギの英名もずばり「ジャパニーズサージョンフィッシュ」。
「サージョンフィッシュ」は英語でニザダイの仲間を意味しており、海外の人々から見ると、ナミダクロハギはまさに日本のニザダイと呼ばれていることになります。
特徴
ナミダクロハギの体長は17cm程度、最大で21cmの記録があります。
体型は左右に平べったく側扁し、体高が高く、口が小さいというニザダイ科の魚全般に共通する特徴を持っています。
体色は黒に近いような濃紺色で、背鰭と尻鰭の基底部には鮮やかな黄色の帯が走るのが特徴です。
また白い尾鰭にも一本の黄色い帯が入り、目の下から口元にかけて、白粉を塗ったかのような白色の斑紋が見られます。
同属のメガネクロハギとはとてもよく似ているのですが、目の下の白い斑紋が口元まで繋がっていることと、胸鰭の基底部に黄色い斑紋が入ることで区別できます。
両種はあまりに似ているため、以前は同種として扱われていたこともありました。
生態
ナミダクロハギはインド洋と西部太平洋にまたがった熱帯・亜熱帯海域に分布していて、インドネシアのスラウェシ島からフィリピン、台湾、琉球列島にかけての海域から知られています。
国内では、琉球列島や小笠原諸島、八丈島で見られる魚です。
ナミダクロハギは水深1~20m、通常は水深5~15mの浅いサンゴ礁や岩礁に生息しています。
藻類を主食としており、小さな口で削ぎ落とすようにして食べます。
しかし、未だ詳しい生態についてはよく分かっていないようです。
ナミダクロハギを観たい時は?
ナミダクロハギは日本国内では食用魚として扱われることはほとんどありませんが、海外の分布地沿岸では、他のニザダイ科の魚と同様に食べられることがあるようです。
ナミダクロハギは藻類を主食としているため、熱帯海域の魚にありがちなシガテラ中毒を心配する必要はありません。
ただし、ニザダイ科の魚は尾柄部に長く鋭い棘が発達しているので、取り扱いには注意を払わなければなりません。
ナミダクロハギは独特の美しい体色を持つ魚であり、観賞魚としては一定の評価を受けています。
水族館で飼育展示されることもあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2018年現在、沖縄美ら海水族館、海遊館、鳥羽水族館、アクアマリンふくしまなど、全国の8ヶ所の水族館で飼育されています。
ただし、近似種のメガネクロハギも、海遊館と鳥羽水族館では飼育されており、判別に注意が必要です。
ナミダクロハギは通販で買える?
ナミダクロハギは楽天などの通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーから楽天市場での検索結果をチェックしてみてください。
まとめ
ナミダクロハギは、スズキ目ニザダイ科クロハギ属の海水魚です。
英名では日本を代表するニザダイ科の魚であるかのような名前を持つナミダクロハギ。
知名度が低く、一般的に出会う機会も少ない魚かも知れませんが、日本という国名を冠した名前を持っていると聞くと、少し興味が湧いてくるのではないでしょうか?
もしナミダクロハギを水族館などで見かける機会がありましたら、そのことを思い起こしながら観察してみてください。