皆さんはヤワラクラゲという生物をご存知でしょうか?
ヤワラクラゲは驚くべきことに若返ることができちゃう不老不死のクラゲなんです。
今回は、そんなヤワラクラゲの生態や特徴についてご紹介いたします。
ヤワラクラゲの基本情報
学名 | Laodicea undulata |
英名 | Suborder Thecata |
分類 | クラゲ目ヤワラクラゲ科ヤワラクラゲ属 |
分布・生息域 | 世界中の熱帯海域から亜熱帯海域 |
大きさ | 1~2cmほど |
分類
ヤワラクラゲ(Laodicea undulata)は刺胞動物門ヒドロ虫綱軟クラゲ目ヤワラクラゲ科ヤワラクラゲ属に属する海洋生物です。
刺胞動物は触手に刺胞と呼ばれる毒針を持つことが特徴の、クラゲ類やサンゴ類からなるグループです。
その中の軟クラゲ目にはクラゲ型とポリプ型の両段階を持つ生物が属しており、危険なクラゲとして知られるカツオノエボシや、細胞分化のモデル生物として使われるヒドラ類などが含まれます。
特徴
ヤワラクラゲは傘径が通常1~2cmの小さなクラゲで、最大の記録でも3.7cmしかありません。
傘は半球よりやや低めで、放射管に沿って発達した生殖腺は薄板状なのが特徴。
短くて細い触手は傘縁にたくさん密生していて、体毛のように見えます。
ヤワラクラゲの体色は透明であり、光の当たり加減で一部器官が白っぽく見えます。
生態
ヤワラクラゲは世界の熱帯海域から亜熱帯海域にかけて発見されています。
日本では従来北海道から琉球列島まで全国で採集記録があるとされていましたが、東日本沿岸での分布ははっきりと確認できておらず、確実な分布は紀伊半島以南に限られます。
ヤワラクラゲは水深0~220mの海域で見つかっていて、動物プランクトンを捕食します。
通常のクラゲは子孫を残すと一生を終えてしまいますが、ヤワラクラゲは成熟前であれば、幼生段階のポリプに再分化することで事実上若返ることができます。
理論上は不老不死が可能という驚くべき生物ですが、実際には自然界のヤワラクラゲは多くの生物の捕食の対象となっており、生き残り続けるは困難です。
このような若返りの生態が明らかになっているのは、ヤワラクラゲの他には花クラゲ目のベニクラゲが知られているだけです。
観たい時は?
ヤワラクラゲは通常食用に利用されることなく、漁獲の対象となっていません。
ただし、若返りの生態が判明したことで、研究対象としては注目を集めている存在と言えるでしょう。
ヤワラクラゲは水族館で飼育展示されることもあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、アクアワールド大洗と鶴岡市立加茂水族館の、全国の2ヶ所の水族館で飼育されています。
まとめ
若返りが可能という、不老不死に繋がる驚きの生態を持つヤワラクラゲ。
そのメカニズムについてはまだ分かっていないことが多く、研究が進められている段階です。
今後も、驚きの事実が明らかになる可能性も考えられ、ヤワラクラゲは私たちも目を離せないクラゲと言えるでしょう。