皆さんはアカオビハナダイという魚をご存知でしょうか?
アカオビハナダイは熱帯海域のサンゴ礁に群れで暮らしている魚で、まるで金魚のように鮮やかな赤い体色を持った美しい種類です。
今回は、そんなアカオビハナダイの生態や特徴についてご紹介いたします。
アカオビハナダイの基本情報
学名 | Pseudanthias rubrizonatus |
英名 | Red-belted anthias |
分類 | スズキ目ハタ科ナガハナダイ属 |
分布・生息域 | 相模湾以南、西部太平洋 |
大きさ | 10cm程 |
アカオビハナダイ(Pseudanthias rubrizonatus)はスズキ目ハタ科ナガハナダイ属に属する海水魚です。
ハタ科は世界の熱帯海域から温帯海域にかけて約450種が知られている大きなグループで、いかつい顔立ちで体長が2メートルを超える巨体を誇るタマカイのようないわゆるハタ類から、小型で鮮やかな赤い体色を持つキンギョハナダイのようなハナダイ類まで、多種多様な魚が含まれています。
アカオビハナダイは、いわゆるハナダイ類の1種です。
特徴
アカオビハナダイの体長は10cm程度で、最大12cmの個体の記録があります。
体型は長めの楕円形で側扁していて、背鰭の基底部が長くなるのが特徴。
雄は尾鰭の上下の先端部が糸のように細長く伸びます。
アカオビハナダイの体色は赤色で、雄は体側面中央部付近に幅広い濃赤色の斑紋があります。
これが和名の由来で、英名Red-belted anthiasの由来にもなっています。
また雄雌共に、目の下や尾鰭の上下の縁に青っぽく見える細い筋があります。
一見すると近縁のケラマハナダイによく似ていて、特に雌は見分けるのが難しいのですが、側線下方横列鱗数がアカオビハナダイの方が少ないことで見分けることができます。
生態
アカオビハナダイは西部太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布する魚で、西はアンダマン海から東はソロモン諸島まで、北は南日本から南はオーストラリア北部のアラフラ海やグレートバリアリーフまでで知られています。
国内では相模湾以南の太平洋側や琉球列島で見ることができます。
アカオビハナダイは水深10~60mの岩礁やサンゴ礁に生息しており、最大で水深133mで見つかった記録もあります。
小さな群れを作って暮らしていて食性は肉食、動物プランクトンやアミ類のような小さな甲殻類を捕食します。
また幼魚は浅瀬に迷い込みやすく、港湾の岩壁付近などで観察されることがあります。
アカオビハナダイを含むハタ科の魚は雌性先熟の性転換を行うことが知られていて、産まれた幼魚は全て雌です。
群れの中で一番大きく育った個体が雄へと性転換し、群れを率いています。
食べられる?
ハタ科の魚は美味しいことで知られていますが、アカオビハナダイはとても小さい上に鮮やかな体色も敬遠されて、通常食用魚として利用されることはありません。
釣りなどで漁獲されても、ほとんどの場合は捨てられるか、海に戻されます。
観たい時は?
ただし、その綺麗な赤い体色から、観賞魚としての人気は高く、アクアリストの間では水槽で飼育されることがあります。
光の当たり具合で体色が変わって見えることも人気の一因でしょう。
アカオビハナダイは水族館でも飼育されることがあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、かごしま水族館、鳥羽水族館、マリンピア日本海、浅虫水族館など、全国の10ヶ所の水族館で飼育されています。サンゴ礁の水槽で、他の色彩豊かな熱帯魚と共に展示されることが多いようです。
最後に
アカオビハナダイは単にサンゴ礁に暮らす美しい赤い魚というだけでなく、光の当て加減で色合いが次々と変わってゆくとても魅力的な魚です。
しかし、そんなアカオビハナダイが暮らすサンゴ礁が今、地球温暖化等の環境問題の影響で減少しています。
このような魅力的な魚が見られなくなることを避けるためにも、サンゴ礁を守ってゆく努力が必要ではないでしょぅか?