皆さんはシリキルリスズメダイという魚をご存知でしょうか?
シリキルリスズメダイは温暖なサンゴ礁の海に生息する魚で、鮮やかな青色と黄色という二色の対比が美しい、熱帯魚に相応しい色彩を持つ魚です。
今回は、そんなシリキルリスズメダイの特徴や生態についてご紹介いたします。
シリキルリスズメダイの基本情報
学名 | Chrysiptera parasema |
英名 | Goldtail demoiselle |
分類 | スズキ目スズメダイ科ルリスズメダイ属 |
分布・生息域 | 琉球列島以南、西部太平洋 |
大きさ | 5cm程 |
分類
シリキルリスズメダイ(Chrysiptera parasema)はスズキ目スズメダイ科ルリスズメダイ属に属する海水魚です。
スズメダイ科は世界の熱帯・亜熱帯海域を中心に分布する小型の魚のグループで、イソギンチャクと共生することで有名なクマノミ類を含んでおり、これまでに300種以上が知られています。
鮮やかな色彩を持つ種類が多く、サンゴ礁の海を泳ぐ華やかな熱帯魚の代表格と言えるでしょう。
その中でルリスズメダイ属は青い体色を持つ種類を多く含んだグループで、これまでに38種が記載されています。
形態と特徴
シリキルリスズメダイの体長は5cmほどで、これまでに最大7cmの個体の記録があります。
体型は卵型で強く側扁していて体高が高く、スズメダイ科の仲間として典型的なものと言えるでしょう。
シリキルリスズメダイの体色は鮮やかな青色ですが、尾柄部から尾鰭にかけては鮮やかな黄色となっていて、二色の対比がはっきりとしています。
シリキルリスズメダイには海域によって色彩変異を持つ個体群の存在が知られていましたが、近年そのうちのいくつかが別種であることが判明し、新種として記載されました。
生態
シリキルリスズメダイは西部太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布する魚で、北は琉球列島から南はパプアニューギニアの北部とソロモン諸島から知られています。
より南のオーストラリア北部のグレートバリアリーフからも報告がありますが、よく似た姿の近縁種が多いこともあり、疑わしい記録とされています。
国内では琉球列島以南で見られる魚で、本土沿岸に出現することはまずありません。
シリキルリスズメダイは水深1~16mの浅い海に生息しており、沿岸の岩礁やサンゴ礁を棲みかとしています。
小さな群れを作り、枝サンゴの間を泳ぎ回りながら、主に付着藻類を食べる他、動物プランクトンやエビやカニなどの小型の甲殻類を捕食することもある雑食性の魚です。
シリキルリスズメダイの繁殖はつがいで行われ、サンゴの表面に産みつけられた卵を、雄が守る習性を持ちます。
人気の観賞魚シリキルリスズメダイ
シリキルリスズメダイは小型な魚である上に、非常に鮮やかな色彩で食欲をそそられることもないため、通常食用魚として利用されることはありません。
しかし、その美しい体色から、観賞魚としてはアクアリストの間で人気の高い魚です。
シリキルリスズメダイは丈夫で病気にもなりにくいため、海水魚飼育の初心者にもお勧めできる魚と言えますが、気性が荒い面があるため、他種との混泳には注意しなければなりません。
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シリキルリスズメダイは水族館でもよく飼育展示される魚で、日本動物園水族館協会のデータベースによると2018年時点で、かごしま水族館、海遊館、鳥羽水族館、鴨川シーワールドなど、全国の35ヶ所の水族館で飼育されています。サンゴ礁水槽において展示される定番種の一つと言ってもよいでしょう。
まとめ
シリキルリスズメダイは綺麗に染め分けられたような青色と黄色の体色を持つ、とても美しい魚です。
これほどの美しさを持ちながら、丈夫で物怖じすることがなく、初心者でも小さな水槽で簡単に飼うことができる魚です。
たとえ自分で飼うことがなくても、とても多くの水族館で飼育されているために、見に行くことも容易です。
皆さんも一度、シリキルリスズメダイの美しさをご覧になってみてはいかがでしょうか?