皆さんはピライーバという魚をご存知でしょうか?
ピライーバは南米のアマゾン川やオリノコ川などの大きな河川に生息しているナマズの仲間で、とても巨大に成長する上に、人食いナマズとも噂されることがある怪魚です。
今回は、そんなピライーバの生態や特徴についてご紹介いたします。
ピライーバの基本情報
学名 | Brachyplatystoma filamentosum |
英名 | Kumakuma / Piraiba |
分類 | ナマズ目ピメロドゥス科Brachyplatystoma属 |
分布・生息域 | アマゾン川、オリノコ川など |
大きさ | 1~2mほど |
ピライーバという言葉自体、原住民がこの魚につけた呼び名ですが、他にも現地ではクマクマ(Kuma-kuma)、ピラティンガ(Piratinga)、ラウラウ(Lau-lau)などといくつもの名前が存在していて、英語の標準名ではクマクマが用いられています。
ピライーバは南米の現地では、単に巨大なだけでなく、とても美味しいナマズとして知られており、食用魚として盛んに利用されています。
特に巨大化した成魚ではなく、まだ小さい幼魚が美味とされていて、およそ67kg以下の個体はフィヨリッチ(filhote)という別の名で呼ばれて区別されているほどです。
ただ、その美味しさが災いして、近年のピライーバは乱獲で激減しています。
単に食用に漁獲されるだけでなく、その巨体そのものをターゲットとした釣りも盛んで、絶滅の危機に瀕しています。
分類
ピライーバ(Brachyplatystoma filamentosum)はナマズ目ピメロドゥス科Brachyplatystoma属に属する淡水魚です。
ナマズ目は、大きて扁平な頭部と、感覚器官として発達した口髭を特徴し、大半の種が淡水域で底生生活を送るグループで、世界中からこれまでに2,800種以上が知られています。
この数はスズキ目、コイ目に次いで多く、現生魚類のおよそ1割、淡水魚に限れば約2割を占めています。
その中でもピメロドゥス科は中米から南米にかけて分布し、中型から大型の85種が記載されているグループです。
ピライーバが属するBrachyplatystoma属は7種からなり、種によって体色や模様は異なりますが、前へ突き出た吻に長く伸びた口髭という共通した特徴を有します。
特徴
ピライーバの体長は通常120cm程度ですが、更に大きく成長する個体が存在していて200cmを超えた記録があり、更に不確かながら360cmに達した個体がいたとの現地の情報もあります。
いずれにしても、東南アジアのメコン川に生息するメコンオオナマズと並んで、世界最大級のナマズの一種であり、また淡水魚としても世界最大級の種であると言えるでしょう。
体型はずんぐりとした体を持つ種が多いナマズの仲間にあって、比較的スマートな流線形を持っており、平べったい吻部が前へ突き出しているのが特徴。
また口髭のうちの一本が非常に長く発達しますが、成長と共に短くなってゆきます。
背鰭もナマズ目においてはかなり発達している種と言えるでしょう。
ピライーバの体色は明るめの銀褐色で、腹部は白っぽくなります。
生態
ピライーバは南米のアマゾン川とオリノコ川、そしてギアナ地方からブラジル北東部にかけての主要な河川の流域に分布している魚です。
ピライーバは水量の多い河川に生息しており、幼魚は河口の汽水域で見つかったこともあります。
夜行性で、柔らかな砂泥底の環境を特に好みます。
ピライーバの餌は、同じ河川に生息している他の淡水魚です。
しかし貪欲な性格で、解剖した結果、胃の内容物からサルの体の一部が見つかったとの報告があります。
アマゾン川流域では時々人が食べられてしまうという噂が存在するほどです。
その他の詳しい生態については、透明度の低い濁った河川に生息していることから観察も難しく、あまりよく分かっていないようです。
観たい時は?
ピライーバは観賞魚として日本に輸入されることもありますが、数が少なく高価な上、巨大に成長するために個人での飼育は難しいと言えるでしょう。
ピライーバは水族館でも飼育展示されることがあり、日本動物園水族館協会のデータベースによると2019年時点で、
男鹿水族館GAO
なかがわ水遊園
サンシャイン水族館
須磨海浜水族園
水族館「うみたまご」
上記、5ヶ所の水族館で飼育されています。
アマゾン川の巨大な淡水魚として、ピラルクやシルバーアロワナなど、同じ生息地の大型淡水魚と一緒に展示されることが多いようです。
まとめ
アマゾン川に流域し、人食いナマズとも恐れられる世界最大級のナマズピライーバ。
しかし、その実態は美味しさゆえに乱獲されてしまっている絶滅危惧種でした。
私たちもこの魚を巨大な怪魚として単にもうわべだけをてはやすだけでなく、絶滅に瀕しているという厳しい現状にも目を向けなければならないのではないでしょうか?